しゃぼん玉
リクは、最後の心当たりの場所にたどりついた。
山のモニュメントが印象的な、“あの”公園。
幼い頃のメイは、何かあると絶対、この公園の山のモニュメントの裏に隠れる習性があったのだ。
成長するにつれてメイがここに現れることは少なくなっていた。
「ん?」
公園と道路の境目に、開きっぱなしの傘が放置されている。
それは、風や豪雨で道路側へ飛ばされそうになっていた。
リクはとっさにその傘を手にし、薄暗い公園の中を見渡した。
すると、よく見知った人影が、小学生の児童を踏み付け、砂を投げつけている様子が目に飛びこんできた。
雨で見通しの悪い視界でも、リクがその人物の姿を見間違うことはなかった。
「メイ!!
何やってんだよ!!」
傘をほうり投げ、リクは二つの影の元へ駆け出した。