しゃぼん玉


メイを探していたメグルは、さきほど訪ねてきたリクの後を追っていた。

リクを追えば、メイに会える気がしていたから。


途中までは祖父の一郎もついてきていたのだが、足腰が弱っている祖父を走らせるわけにもいかないので、途中からはメグル一人でリクを追い続けていた。


「リク君、もっとゆっくり走ってよぉ。

見失うって、これじゃ」

一生懸命リクを追いかけてはいたが、二人の距離はだんだん開く。

リクは、メグルに追われていることすら気がついていないようだった。


メグルは肩で息をしながら、日頃の運動不足をなげく。

リクの入っていった公園に、よろよろと足を運んだ。

“ずいぶん遠くまで来たけど……。

ほんとにこんなとこにメイがいんのかな?”

ふと目線を遠くに飛ばすと、霧雨が舞う空の下、メイとリクがずぶ濡れの姿で向き合っているのが見える。

ほどなくして、叫ぶように話すメイの声が聞こえた。


メグルは公園の入口に立ったまま二人の会話を聞き、悲しげな二つの影を見つめていた……。

近づいてはいけない雰囲気がしたから。

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