しゃぼん玉

リクは紙袋の中身とメイの顔を交互に見て、

「母さんにもらった?」

「うん。私に、アンタと関わってほしくないんだって。

この金あげる代わりに、アンタとは関わらないでって言ってた。


アンタが、そうやって私のためにバイトなんかするからだよ。

アンタの親は、私がいるとアンタの受験の邪魔になると思ったんじゃない?」

メイは紙袋をしまう。

「そういうわけだから。

私はこの金でなんとかする。ババアから逃げ切ってみせる。

だから、もう余計なことはしないで。

じゃ」

立ち去ろうとするメイを、リクはまたもや強い力で引きとめた。

「そんなお金、無効だ!!

俺は、母さんに何て言われたって、メイと関わるのをやめない!

父さんにも、いつか絶対にわかってもらう!

だから、そんなこと言わないで!?

一人で全部背負いこもうとするなよ!


俺に、メイを助けさせてよ!

メイを、楽にしてあげたいんだよ!」


しばらくの沈黙の後、メイは横顔だけでリクを振り返り、静かにこうつぶやいた。

「私を、助けたい?」

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