しゃぼん玉
メイは、今まで見せたことのない穏やかな表情で、
「私を、殺して」
「えっ?」
リクの頬には涙があふれ、止まらなくなっていた。
メイはそんなリクの顔を見ながらクスクスと笑う。
「泣かないでよ。
私、今から死ねるんだと思うと、最高に幸せなんだぁ。
だから、悲しむことはない。
ね? リク。
あんたは私の気持ちをわかってくれる、唯一の人間だもん。
他の奴には頼めない。
ためらうことないよ。
やっちゃって? 一気に」
メイは愛くるしいほどの笑みで、ナイフの先を自分の心臓に近づけた。
「楽になりたい。
私は、ここに存在しているくらいなら、消えてしまいたいんだよ」
メイは、普段絶対にしない優しい口調で、リクにナイフをにぎらせる。