しゃぼん玉
ミズキを抱きしめたゆえの緊張で、ナナセはしばらく何も考えられなかった。
思っていたより細かったミズキの肩。
柔らかい腕。
髪から漂う甘い香り。
透き通るように白い首すじ……。
ミズキを抱きしめながら、ナナセはあらゆる感覚でミズキを感じとっていた。
初めて抱きしめる、彼女のぬくもり。
緊張で、腕が震える。
その一方で、緊張と同じくらいの安心感とあたたかさがナナセの心に流れ込んでくる。
このままミズキを離したくないと思った。
「……俺が、いるから」
ナナセの腕がわずかに震えているのを感じつつ、彼の力強い腕に、ミズキは改めて、ナナセが異性であるのだと感じていた。
緊張感でこわばったナナセの声が、甘く優しく、ミズキの耳に届く。
「ミズキちゃん、無理しないで……。
俺にも、その痛み、分けてほしい」
「ナナセ君……」
ミズキは、さきほどナナセがアイリ相手に意見をぶつけた時のことを思い出していた。
ナナセは自分の味方。
今のミズキは、そう強く実感できる。