しゃぼん玉

涙を吹き飛ばすような笑顔を浮かべ、ミズキは背後のナナセを振り返る。

そして、彼の腕の中に飛び込んだ。

見ているだけではわからなかった、ナナセの胸の広さと腕のあたたかさが、ミズキの心を包み込む。


「幸せだよ、私。

これからも、ナナセ君の胸に甘えてもいい?」

「うん。甘えて?

ここは、ミズキちゃんだけの場所だよ」

愛情をいっぱい込めて、ナナセはミズキの背中に両手をまわした。


ナナセの胸にすっぽりうまるミズキの頭。

“かわいい……。

ミズキちゃんが、愛しいよ”

今までミズキに触れることをためらっていたのが嘘だったように、ナナセはミズキを抱きしめ続けた。

普段、ミズキが見せない弱さや過去の傷も、なにもかも、ナナセの腕が和らげてくれる。

ミズキはそんな気がした。

この時を、ずっとずっと、望んでいた。

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