しゃぼん玉

離れたくないほどに抱きしめ合った後、惜(お)しむように体を離した二人は、入浴を済ませるために、わずかの時間離れ離れになった。


先に浴室に向かったミズキ。

ナナセの胸の中で感じた安心感を逃がさないように、そっとバスタブに足を入れる。

程よく熱い湯が、足先からじょじょに全身を包んだ。

ナナセに抱きしめられた時の熱い気持ちは消えることはなく、湯の温度でさらに熱していくような気さえする。

まだかすかにドキドキ高鳴る鼓動を湯に溶かして、ナナセに言われた言葉を頭の中で繰り返した。

“私は、今、幸せだよ。

リョウ、見てる……?”


問題はまだ片付いていない。

この先もまだ、たくさんのつらいことが待っているのだろう。

だけどミズキは、絶対に負けないと心に誓った。

リョウの命を引き継ぐ者として。

リョウと同じ血を持つ、星崎家の人間として……。

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