しゃぼん玉
「リョウ……」
夜空の雲間からこぼれる月の光が、うっすら瞳を開いたミズキの頬に射している。
ナナセはあの後すぐ風呂に入ったらしいが、それからまたミズキの部屋に戻って来たようだ。
ブランケットに包(くる)まり、ミズキが寝ているベッド脇に座り込んで、眠ってしまっている。
“ずっと、ここにいてくれたんだ……。
ナナセ君にも、心配かけちゃったもんね”
客室に戻らずここに居てくれたナナセの気持ちに感動しながらも、ミズキは、夢の中のリョウと、体感させられる現実が混ざり合うのを感じ、涙を流さずにはいられなかった。
アイリに見せてもらったリョウの苦しむ姿が頭から消えず、吐き気をもよおすほどに、ミズキの首をしめつける。
ナナセを起こしてしまわないように、ミズキは声を殺して泣いた。
“リョウ……。
会いたいよ”
掛け布団のシーツに滴(したた)る水滴。
リョウに関することは全て割り切り、前向きな生活を送っているつもりだったのに、心の奥深くに染み付いた寂しさや空虚さは、簡単には消えてくれない。