しゃぼん玉
ミズキの頭いっぱいに、リョウの葬儀で見た両親の様子が広がる。
日ごとにその残像は薄れてゆくのに、その時の思いはまだ消えていなかった。
ナナセはミズキを抱きしめたまま、
「そうだよね、言えないよね。
ミズキちゃんがそう思うのは当たり前だよ……」
ナナセの柔らかい言い方が、ミズキの気持ちを落ち着けてくれる。
しばらくの沈黙のあと、ナナセは何かを決意したような口調でこう言った。
「今すぐ話そうなんて思わなくていいよ。
まずは、穂積さんのことから先に、解決していこ?」
「穂積さんのことから?」
「うん。一度にいろいろ起こりすぎて、ミズキちゃんが戸惑うのも無理はないから……。
穂積さんのことも大事なことだけど、リョウ君のことも大切な問題だよね。
だからこそ、一つ一つ、どっちも丁寧に対処していったほうが、いいんじゃないかな」
今までミズキの中になかった考え方だった。
メイのこともリョウのことも、全部全部、一気に解決しなくては、と、思い込んで、焦っていた。
それと同時に、心の奥で悲鳴をあげている自分に気づかなかった。