しゃぼん玉

ミズキはナナセの肩に両手を置き、彼がいま感じているであろう緊張を感じ取っていた。

青い月の光にさらされた、さらさらの髪。

少しだけ乾燥した唇……。


ナナセの唇に触れてみたい。

そう思うのに、そんなことを言ったら奥手なナナセは引いてしまうのではないか、と、ミズキは不安になった。


付き合って10ヶ月。

ナナセから手をつないでくれるようになったのも最近だし、抱きしめ合ったのも今日が初めてだ。

“早すぎるよね……”

ミズキはこの空気を消し去るように、ナナセの肩に頭をもたれさせた。

一方、ナナセの気持ちは、ミズキからの接近で高ぶりつつあった。

長年、自分は臆病で貧弱な男だと思っていたから、それがコンプレックスでもあった。

シュンのように、力強く堂々と、好きな女の子を守れるような男になりたいと思っていた。

< 582 / 866 >

この作品をシェア

pagetop