しゃぼん玉
ミズキはナナセの肩に両手を置き、彼がいま感じているであろう緊張を感じ取っていた。
青い月の光にさらされた、さらさらの髪。
少しだけ乾燥した唇……。
ナナセの唇に触れてみたい。
そう思うのに、そんなことを言ったら奥手なナナセは引いてしまうのではないか、と、ミズキは不安になった。
付き合って10ヶ月。
ナナセから手をつないでくれるようになったのも最近だし、抱きしめ合ったのも今日が初めてだ。
“早すぎるよね……”
ミズキはこの空気を消し去るように、ナナセの肩に頭をもたれさせた。
一方、ナナセの気持ちは、ミズキからの接近で高ぶりつつあった。
長年、自分は臆病で貧弱な男だと思っていたから、それがコンプレックスでもあった。
シュンのように、力強く堂々と、好きな女の子を守れるような男になりたいと思っていた。