しゃぼん玉
ミズキは、服の間から覗くナナセの鎖骨を見つめた。
「ほめすぎだよ。
私、そんなたいしたことしてない……」
彼女の言葉を否定するように、ナナセは腕の力を強めた。
その力加減が、ミズキにとっては心地良い。
溶けるようなナナセの体温を、胸いっぱいにしみ渡らせた。
ナナセは、ずっと一人で抱えてきた気持ちを口にした。
「小学五年生の時のことなんだけどね……」
少しだけ低くなったナナセの声に、ミズキは耳を傾けた。
「今でも忘れられないくらい、ショックだったことがあって……」
「ショックなこと……?」
ミズキの胸はざわつく。
一瞬、ナナセの心臓の音まで聞こえてきそうなくらい、静かになった。
ナナセの腕は、かすかに震えている。