恋心屋
それからいくつかの自己紹介をした。


ミツキさんによれば、年齢は19歳で大学に通っているらしい。


あと2ヶ月で20歳になるらしい。


どうして、と言い、こんなことを?と聞こうとしたけれど、やはり気が引けるので、ややワンテンポずれて、僕なんですか?と聞いてみた。


このボランティアは確かに怪しいし、少し間違えば、いや、ほとんど詐欺に近いとおもう。


それでも、確かに存在していて、こうしてミツキさんという女性が目の前にいる。


だから、口コミにでも広がれば、優良なボランティアだと認識されるのだろうし、必要とされることも想像できる。


つまり、僕以外にも求めているひとは数多くいたはずなのに、どうして僕が選ばれたのかは素朴な疑問だった。


うーん、と困った顔をしたが、その仕草はかわいかった。


「あ、別に答えられなかったらいいですよ」


「いや、答えられないわけじゃないんですが、まぁ、それは企業秘密ということで」


それ以上は強くは聞かなかったが、強く言えば答えてくれたのだろうか。


あなたこそ、とミツキさんは言う。


「どうして依頼しようと考えたんですか?」
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