恋心屋
店から出ようとしたとき、


「どうせですから、プリクラを撮りませんか?」


写真は好きではなかったけれど、ミツキさんの笑顔に誘われて断ることができなかった。


「プリクラって撮ったことがないんですけど」


不安そうにいうと、ミツキさんはリードしてくれた。こういうのは慣れているんだろうな。


いろいろとボタンを押して、カメラを見ることになった。


「じゃあ、あそこを見つめてください、裕太さん」


「裕太さん」という口調が、とても純粋な響きに聞こえ、少し気恥ずかくなって、顔を背けてしまった。


「あと5秒ですよ、ほら」


そういったミツキさんは、僕の腕を優しくつかんで、「ねっ」と微笑みかけてくれた。
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