黒猫独語
 昼過ぎ、ピンポーンとベルが鳴った。まず四十前後の女性、そして中学生か高校生くらいの身長の男の子が、お婆さんのあとから室内に入ってきた。
 男の子はお婆さんに「こんにちは」と笑顔で挨拶(あいさつ)すると、クロに目をとめた。
「なにこれ。おはぎみたい」

 誰がおはぎや。

 彼はクロの首根っこをつかんだ。首から下が宙ぶらりんだ。クロは前足と後ろ足をひねったりねじったりして踊るように動かした。彼は手を離した。クロは床に降り立つと、そこからとことこ歩いていく。
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