黒の本と白の本
縋りつく黒の本の女を白の本から出てきた老人は一瞥し、そしてゆるりと首を横に振ります。
「私が叶えられるのは、私の本の持ち主だけ。あなたの願いは叶えられん」
「何よ!? いいじゃないのよ!! けち臭い事言わないで!! アンタの主は死んでるだろう? 願い事を言える者がいないなら他の者の願いを叶えてくれてもいいはずだ!」
なおも食い下がってくる黒の本の女に、白の本から出てきた老人は先ほどと同じように首を横に振りました。
「残念だが、私はすでに持ち主の願い事を三つ叶えている、どちらにしても、あなたの願いは受け入れる事は出来ない」
「なんだって!?」
白の本から出てきた老人の言葉に、黒の本の女は目を大きく見開きました。
「あの娘、私を騙したね」
地面に横たわった少女へと目を移し再び、胸にナイフを突き刺します。
何度も、何度も、胸の中にある黒いものを少女の胸に送り込むように。
そして、少女の胸元がミートソースのように、赤く柔らかくなった頃、黒の本の女は自分の胸に懐かしい鼓動を感じる事ができました。
ことりと心臓が跳ねる音。
黒の本の女は無心になって突き刺していたナイフから手を外して、胸元へと持っていって、その音が間違いなく自分の心臓であることを感じ、歓喜に震えました。
「ああ、私の心臓、私の心臓がある」
その姿を見て、白の本から出てきた老人は赤く染まった少女へと目を移して会釈をしました。
「願い事、確かに叶えましたぞ」
「私が叶えられるのは、私の本の持ち主だけ。あなたの願いは叶えられん」
「何よ!? いいじゃないのよ!! けち臭い事言わないで!! アンタの主は死んでるだろう? 願い事を言える者がいないなら他の者の願いを叶えてくれてもいいはずだ!」
なおも食い下がってくる黒の本の女に、白の本から出てきた老人は先ほどと同じように首を横に振りました。
「残念だが、私はすでに持ち主の願い事を三つ叶えている、どちらにしても、あなたの願いは受け入れる事は出来ない」
「なんだって!?」
白の本から出てきた老人の言葉に、黒の本の女は目を大きく見開きました。
「あの娘、私を騙したね」
地面に横たわった少女へと目を移し再び、胸にナイフを突き刺します。
何度も、何度も、胸の中にある黒いものを少女の胸に送り込むように。
そして、少女の胸元がミートソースのように、赤く柔らかくなった頃、黒の本の女は自分の胸に懐かしい鼓動を感じる事ができました。
ことりと心臓が跳ねる音。
黒の本の女は無心になって突き刺していたナイフから手を外して、胸元へと持っていって、その音が間違いなく自分の心臓であることを感じ、歓喜に震えました。
「ああ、私の心臓、私の心臓がある」
その姿を見て、白の本から出てきた老人は赤く染まった少女へと目を移して会釈をしました。
「願い事、確かに叶えましたぞ」