ケンカ+理解×大好き=友情
ユナちゃんとマナツを大学の門前に残した私たち3人は、帰路を目指して歩きだした。
このまま帰りたくないけど、どこかの店に入ってトークをする気にもなれない。
同じ気持ちになった私たちは、大学から歩いて15分くらいの所に位置する小学校に忍び込んだ。
市立の学校だからか、警備員もいない。
近所に広がる住宅地の人々に気づかれないよう、鉄製の門をゆっくりスライドさせ、グラウンドの隅に並んでいるタイヤの遊具に、それぞれ腰を下ろした。
コレ、跳び箱にもなりそうだな。
目が暗さに慣れ、白い色をした校舎や、グラウンドの角に設置されている緑のネット、夜空に浮かぶ雲までもがハッキリ見える。
この季節なのに珍しく、涼しい風が私たちの体に吹きつけた。
風の神様が、家に帰りたくないというワガママな私たちにプレゼントを与えてくれたのかな。
大学を後にしてから、ほとんど会話のなかった私たち。
ミサキはタイヤの遊具を足でゲシゲシ蹴り、
「あーもー、信じらんない!
せっかくマナツを捕まえて全て吐かせたのに。
本当にあれで良かったの!?」
と、唇を尖らせて隣のタイヤに座るあっちゃんを見た。