ケンカ+理解×大好き=友情
「あれは、俺がユナにしてあげられる最後のことだから……」
あっちゃんは真っ暗な空を見上げて言った。
私とミサキもそれにつられ顔を上げる。
ひとつひとつ。それぞれ輝き方が違う綺麗な星は笑っているようだ。
あっちゃんは星空の遥か向こうを見ているように、遠い目をしている。
「あのマナツが、よく白状したよね。
どう頑張っても、あの人本当のこと話しそうにないし……」
私が訊(き)くと、ミサキは得意げに答えた。
「親父の名前出したら、コロッと態度変わったよ。
マナツって、見た目に寄らずヘタレだった。
悪いことしたって自覚はあったんだね、あれでも。
そんなに警察がこわいなら、最初から捕まるようなことすんなって感じ」
「なるほど……」
ミサキの父親は警察の人間で、かなり上の偉い人だ。
近所でもそれは有名で、ミサキは近所のおじさんおばさんにそれを褒められたりするが、ミサキ自身は、そう言われることや父親の職業を口にするのを嫌がっていた。
「今回だけは、親父にちょっと感謝した」
ミサキはそう言い、カラッと笑む。
『正直に全部話せ。じゃなきゃ、アンタのしたこと全部、父に言うぞ』
ミサキはマナツにそう言ったんだろう。