リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「まあな。メンタル弱すぎだよ、あいつは。それでグタグタになっているだけなのに、といつもこいつも、大塚の二の舞はごめんですと逃げ腰らしいんだ。で、係長の吉田まで、納期前にこっちのメンバーが倒れるようなことになったら困るだのなんだなと言い出して、挙句、よそのチームにいる経験者に頼んでくれと、部長に言ったらしい」
なんてこったと、明子は思わず額に手を当てた。
(ありえないでしょ、それ)
(大塚さんも肝小さいけど、他も小さすぎ)
額に手を当てたまま、どっぷりと考え込んでしまった様子の明子を見て、牧野のけん制するように声をかけてきた。
「おい。今更、ムリはなしだからな」
「言いませんよ、そんなこと。なんか、呆れ返って、ぐったりしてただけですから」
だらしないとそう毒づく明子に、牧野もまた「まあな」と頷き、苦笑した。
「ヘタに関わりたくないってのが、連中の本音らしい。まあ、全部、吉田から聞いた話だから、どこまでがホントか、判らねえけどな」
「だって。設計が固まれば、入ることになるんですよね?」
「年明けには、こっちにいる君島部隊、全投入だろうな」
「今だけ逃げたところでしょうがないのに。挙句、他所に回せって。ひどいじゃないですか」
明子はがっくりと、肩を落とした。
(君島課長のとこって、そんなのばっかりなの?)
(ああ、だから、沼田くんに育ってもらいたいのかな?)
そんなことを腹のそこでふつふつと考えていた明子に、牧野が少しだけすまなそうな声で「そのことなんだけどな……」と、切り出した。
「よそのチームにいる経験者って言ったけど、ホントな、吉田のヤツ、俺を名指しで指名してきたんだ」
「はあーっ?!」
だったら牧野さんが行ってくださいよっと、明子はいつもの勢いで怒鳴りかけ、その言葉を飲み込んだ。
前を見つめる牧野のその横顔は、少しだけ、苦しそうに歪んでいた。
それは、明子にとっては初めて見る牧野の表情だった。
しばし、ワイパーの動く音だけが、車中に溢れた。
話しの続きを促していいのか。
それとも、牧野が話し出すまで待つべきか。
明子は迷い、そして、ややあってから静かに口を開いた。
なんてこったと、明子は思わず額に手を当てた。
(ありえないでしょ、それ)
(大塚さんも肝小さいけど、他も小さすぎ)
額に手を当てたまま、どっぷりと考え込んでしまった様子の明子を見て、牧野のけん制するように声をかけてきた。
「おい。今更、ムリはなしだからな」
「言いませんよ、そんなこと。なんか、呆れ返って、ぐったりしてただけですから」
だらしないとそう毒づく明子に、牧野もまた「まあな」と頷き、苦笑した。
「ヘタに関わりたくないってのが、連中の本音らしい。まあ、全部、吉田から聞いた話だから、どこまでがホントか、判らねえけどな」
「だって。設計が固まれば、入ることになるんですよね?」
「年明けには、こっちにいる君島部隊、全投入だろうな」
「今だけ逃げたところでしょうがないのに。挙句、他所に回せって。ひどいじゃないですか」
明子はがっくりと、肩を落とした。
(君島課長のとこって、そんなのばっかりなの?)
(ああ、だから、沼田くんに育ってもらいたいのかな?)
そんなことを腹のそこでふつふつと考えていた明子に、牧野が少しだけすまなそうな声で「そのことなんだけどな……」と、切り出した。
「よそのチームにいる経験者って言ったけど、ホントな、吉田のヤツ、俺を名指しで指名してきたんだ」
「はあーっ?!」
だったら牧野さんが行ってくださいよっと、明子はいつもの勢いで怒鳴りかけ、その言葉を飲み込んだ。
前を見つめる牧野のその横顔は、少しだけ、苦しそうに歪んでいた。
それは、明子にとっては初めて見る牧野の表情だった。
しばし、ワイパーの動く音だけが、車中に溢れた。
話しの続きを促していいのか。
それとも、牧野が話し出すまで待つべきか。
明子は迷い、そして、ややあってから静かに口を開いた。