リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
そんな明子を見て、牧野は意地の悪そうな声で、とんでもないことを、さらりと言った。
「同期で、同じ主任の小杉に、うまいこと立ち回られたら、あいつ、けっこう、ダメージ受けるだろ? あいつ、もう目障りでしょうがねえから、潰して沈めちまえ」
「あたしは、人間魚雷ですかっ」
さらりと放たれた牧野の爆弾発言に、これでもかと目を見開き、うがーっと、吠えるように噛みついてきた明子に、骨は拾ってやるから安心しろと、牧野は笑い転げた。
(なんでっ)
(なんで、牧野さんのために、あたしが玉砕覚悟で、大塚さんに体当たりしなきゃならないのっ)
(ふざけんなーっ)
(ケンカしたいなら、二人で勝手にやってよっ)
(もう、昔みたいに、止めたりしないわよっ)
(気が済むまでやってなさいよっ)
笑い転げている牧野に、明子は拳を握り上げる素振りを見せて、猛烈な怒りを表した。
「ま。それは冗談だけどな」
まだ笑いながら、怒れる明子を見ていた牧野は、想像もしていなかった事実を明子に告げた。
「もしかしたら、デカいプロジェクトに放り込むことになるかもしれないんだ」
「私を、ですか?」
驚きに声をひっくり返した明子に「そう、驚くなよ」と、牧野は言った。
「まだ未確定だから、詳しいことは話せないんだけどな。そうなるかもしれん」
「はあ」
突然の話に、目をしばしばと瞬かせて、そんな話しが出ているのかと言うように、明子はふうんと鼻を鳴らした。
(デカいプロジェクトかあ)
(放り込むことってことは、各課から人を出して、チーム作るってことだよねえ)
(リーダー、誰かなあ)
(気難しい人は、いやだなあ)
そんなことを考えている明子に、牧野はさらに驚きの事実を告げた。
「放り込むことになったら、多分、お前がサブだ」
「は?」
考え事をしていた明子は、牧野の言葉を瞬時に理解できなかった。
(さぶ?)
(って……、サブ?)
(あたしが? サブリーダー? ですとぉ?!)
冗談でしょうと、目を丸くして固まってしまった明子に、牧野は何を驚いているんだと、呆れたように明子を見た。
「もう。それくらいのこと、やらなきゃならない立場なんだよ、お前も。自覚しろって。たぶん、要求の吸い上げから入ることになるから、その予行練習だと思って、土建屋に行ってこい」
やたら、土建さんの要求を吸い上げてこいと言うと思ったら、そういうことかと、明子は、ようやく聞き出した牧野の魂胆に、げんなりとした顔で、それでも仕方なさそうに「判りましたぁ」と頷いた。
「同期で、同じ主任の小杉に、うまいこと立ち回られたら、あいつ、けっこう、ダメージ受けるだろ? あいつ、もう目障りでしょうがねえから、潰して沈めちまえ」
「あたしは、人間魚雷ですかっ」
さらりと放たれた牧野の爆弾発言に、これでもかと目を見開き、うがーっと、吠えるように噛みついてきた明子に、骨は拾ってやるから安心しろと、牧野は笑い転げた。
(なんでっ)
(なんで、牧野さんのために、あたしが玉砕覚悟で、大塚さんに体当たりしなきゃならないのっ)
(ふざけんなーっ)
(ケンカしたいなら、二人で勝手にやってよっ)
(もう、昔みたいに、止めたりしないわよっ)
(気が済むまでやってなさいよっ)
笑い転げている牧野に、明子は拳を握り上げる素振りを見せて、猛烈な怒りを表した。
「ま。それは冗談だけどな」
まだ笑いながら、怒れる明子を見ていた牧野は、想像もしていなかった事実を明子に告げた。
「もしかしたら、デカいプロジェクトに放り込むことになるかもしれないんだ」
「私を、ですか?」
驚きに声をひっくり返した明子に「そう、驚くなよ」と、牧野は言った。
「まだ未確定だから、詳しいことは話せないんだけどな。そうなるかもしれん」
「はあ」
突然の話に、目をしばしばと瞬かせて、そんな話しが出ているのかと言うように、明子はふうんと鼻を鳴らした。
(デカいプロジェクトかあ)
(放り込むことってことは、各課から人を出して、チーム作るってことだよねえ)
(リーダー、誰かなあ)
(気難しい人は、いやだなあ)
そんなことを考えている明子に、牧野はさらに驚きの事実を告げた。
「放り込むことになったら、多分、お前がサブだ」
「は?」
考え事をしていた明子は、牧野の言葉を瞬時に理解できなかった。
(さぶ?)
(って……、サブ?)
(あたしが? サブリーダー? ですとぉ?!)
冗談でしょうと、目を丸くして固まってしまった明子に、牧野は何を驚いているんだと、呆れたように明子を見た。
「もう。それくらいのこと、やらなきゃならない立場なんだよ、お前も。自覚しろって。たぶん、要求の吸い上げから入ることになるから、その予行練習だと思って、土建屋に行ってこい」
やたら、土建さんの要求を吸い上げてこいと言うと思ったら、そういうことかと、明子は、ようやく聞き出した牧野の魂胆に、げんなりとした顔で、それでも仕方なさそうに「判りましたぁ」と頷いた。