リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
たっぷりの湯を張った湯船に、肩までどっぷりと浸かって、明子は体を伸ばした。

午後の長い散歩で、それなりに汗をかいた体を放置した挙げ句、夕方からの急激な冷え込みで、明子が想像していた以上に、体は冷えていたらしい。
人肌より暖かい湯が、心地良く体の芯まで染みてくるようだった。


(送って、もらわなかったら……)
(ホントに、風邪とか引いてたかも)


少しだけ、家まで送り届けてくれた牧野に感謝の言葉を並べて、明子は吸い込んだ息を、深く、吐き出した。
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