リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
明子のそのため息に、沼田もなにか感じたらしい。
申し訳なさそうな顔で、明子にすいませんと頭を下げた。
「朝は……、まだ判断できなかったんです。本当に、見せていい人なのかどうか」
「は?」
なにを言われたのか判らない。そんな顔で、明子は沼田を眺めた。
「君島課長も、牧野さんも、警戒しなくていいって言ってくれましたけど……」
「警戒って、なによ?」
俯きながらの聞き捨てならない言葉に、明子は顔は自然と険しいものになっていった。
(なんだって言うのよ、全く)
(はっきりしない子だなあ、もう)
見ることができるなら、ゆらゆらとした白煙となって立ち上っているであろう明子の怒りを感じ取った沼田は、首を竦めて、また「すいません」と頭を下げた。
「もしかしたら、大塚主任に利用されているのかもしれないって思うと、どこまで信用していいか判らなくて」
「牧野チームにいて、大塚派はないわよ」
明子のその言葉に、何かを伝えようと口を開きかけた沼田を、明子は手で制した。
どうやら、明子には知らせれていない事情が、この一件には潜んでいそうだと、そんな匂いを書き取った明子は、休憩の言葉に出て行った者たちが戻り始めたきた気配に、沼田を止めた。
‐話の続きは、お昼になってからにしましょう
明子は、小声でそう沼田に告げて、話しを一旦切り上げた。
とりあえず、頭を切り替えて、また再開された口論会の激論に耳を傾けながら、午後一の先手をどう打つか、沼田のノートを眺めながら、そんなことを必死に計算した。
申し訳なさそうな顔で、明子にすいませんと頭を下げた。
「朝は……、まだ判断できなかったんです。本当に、見せていい人なのかどうか」
「は?」
なにを言われたのか判らない。そんな顔で、明子は沼田を眺めた。
「君島課長も、牧野さんも、警戒しなくていいって言ってくれましたけど……」
「警戒って、なによ?」
俯きながらの聞き捨てならない言葉に、明子は顔は自然と険しいものになっていった。
(なんだって言うのよ、全く)
(はっきりしない子だなあ、もう)
見ることができるなら、ゆらゆらとした白煙となって立ち上っているであろう明子の怒りを感じ取った沼田は、首を竦めて、また「すいません」と頭を下げた。
「もしかしたら、大塚主任に利用されているのかもしれないって思うと、どこまで信用していいか判らなくて」
「牧野チームにいて、大塚派はないわよ」
明子のその言葉に、何かを伝えようと口を開きかけた沼田を、明子は手で制した。
どうやら、明子には知らせれていない事情が、この一件には潜んでいそうだと、そんな匂いを書き取った明子は、休憩の言葉に出て行った者たちが戻り始めたきた気配に、沼田を止めた。
‐話の続きは、お昼になってからにしましょう
明子は、小声でそう沼田に告げて、話しを一旦切り上げた。
とりあえず、頭を切り替えて、また再開された口論会の激論に耳を傾けながら、午後一の先手をどう打つか、沼田のノートを眺めながら、そんなことを必死に計算した。