リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「ギリギリまで、すごい難航しているようにみせておいて、それを、いざってときに、上手く仕切って、きっちりまとめようって腹だったんですよ、あの人。課長が会社に出てこられない状態になるまで、のらりくらりと誤魔化して。課長がいない隙を狙って、一気に難航していた問題を片付けて、株を上げる。そんなバカみたいな計算してたんですよ。きっと」
今度は大塚に抱いている悪感情を隠そうともせず、心の底から彼を嫌っていることがはっきりと伝わってくる声で、沼田はそう明子に告げる。
聞いた明子はぽかんとなって、思わず、手にしていたおにぎりを落としそうになった。
(……、セ、セコイ)
(なんてセコさだ)
沼田の語るそれを話半分と思って聞いても、あんまりにも情けなさ過ぎる話に、明子は唖然とするしかなかった。
沼田は、そこで一つ深呼吸をすると、言葉を続けた。
「だから、ここのことだって、被害者続出の魔の土建会社みたいな噂、あちこちに流したんですよ。そんな厄介なところの仕事、きっちり仕切れたら評価もあがるだろうなんて、バカなこと考えて」
普段の声よりも、さらに静かな声だった。
けれど、その声には、沼田の激しい怒りがあった。
今度は大塚に抱いている悪感情を隠そうともせず、心の底から彼を嫌っていることがはっきりと伝わってくる声で、沼田はそう明子に告げる。
聞いた明子はぽかんとなって、思わず、手にしていたおにぎりを落としそうになった。
(……、セ、セコイ)
(なんてセコさだ)
沼田の語るそれを話半分と思って聞いても、あんまりにも情けなさ過ぎる話に、明子は唖然とするしかなかった。
沼田は、そこで一つ深呼吸をすると、言葉を続けた。
「だから、ここのことだって、被害者続出の魔の土建会社みたいな噂、あちこちに流したんですよ。そんな厄介なところの仕事、きっちり仕切れたら評価もあがるだろうなんて、バカなこと考えて」
普段の声よりも、さらに静かな声だった。
けれど、その声には、沼田の激しい怒りがあった。