リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「大塚主任にこんなふうに売られた喧嘩、今までなら牧野さんが買って、KO勝ちしていくじゃないですか。今までなら」
沼田のそんな言葉に、入社して五年になるとそういうものもちゃんと見えるんだねえと、明子は苦笑いを浮かべる。
「よく、知ってるわね」
「僕が入社したころは、二人とも、よくケンカしてましたから。ここ、二年か、三年だと思います。ケンカしなくなってきたのって」
「なるほど。三十路にして、やっと大人になったのね、あのおバカさんたち」
「でも、昔を知っているから、小杉さんに打ち合わせの件は任せたからって課長から連絡がきたんで、不思議になって。牧野さんは出入り禁止なんて言い方してますけど、本当にここに出入りできないってわけじゃないのに、なんで小杉さんに、この話しを振ったのかなあって」
「それは、私も知りたいとこだわ」
昨日聞かされた牧野の話に、明子もなるほどとなんとなく頷いたけれど、こうやって沼田の話を聞いて、明子の中に新たな疑問が次々と沸いて出てきた。
でも、それは、沼田に尋ねても、答えはでてこないことだった。
(答えを出せるのは……)
(おそらく、牧野)
(もしくは、君島課長)
(あるいは、笹原部長、かな)
まだ隠されている『裏』を想像すると、明子は背中にじんわりとイヤな汗が浮かんでくるような、そんな不快感を覚えた。
明子のそんな逡巡など気付くことなく、沼田の言葉を続く。
「だから、ちょっと疑っちゃったんです。もしかしたら、大塚主任がなにか企んで、小杉さんを出してきたのかなあって」
「木村くんみたいに、大塚さんの策にハマって、いいように利用されたんじゃないかと」
そもそも、こんなドロドロというかグチョグチョというか、いい加減にしやがれ、バカやろうどもメと怒鳴りつけたくなるように話が始まった理由にたどり着き、明子は肩を竦めて笑った。
(利用、されたのかな、上の連中に)
そんなことを思うと、目の奥がズキズキしてきた。
牧野に掴まれた腕も、ジリジリと、熱い。
(もし、そんなんだったら……)
(ホントにぶん殴ってやるっ)
昨日見た、牧野のきれいな横顔が、一瞬、明子の脳裏に浮かんで、消えた。
沼田のそんな言葉に、入社して五年になるとそういうものもちゃんと見えるんだねえと、明子は苦笑いを浮かべる。
「よく、知ってるわね」
「僕が入社したころは、二人とも、よくケンカしてましたから。ここ、二年か、三年だと思います。ケンカしなくなってきたのって」
「なるほど。三十路にして、やっと大人になったのね、あのおバカさんたち」
「でも、昔を知っているから、小杉さんに打ち合わせの件は任せたからって課長から連絡がきたんで、不思議になって。牧野さんは出入り禁止なんて言い方してますけど、本当にここに出入りできないってわけじゃないのに、なんで小杉さんに、この話しを振ったのかなあって」
「それは、私も知りたいとこだわ」
昨日聞かされた牧野の話に、明子もなるほどとなんとなく頷いたけれど、こうやって沼田の話を聞いて、明子の中に新たな疑問が次々と沸いて出てきた。
でも、それは、沼田に尋ねても、答えはでてこないことだった。
(答えを出せるのは……)
(おそらく、牧野)
(もしくは、君島課長)
(あるいは、笹原部長、かな)
まだ隠されている『裏』を想像すると、明子は背中にじんわりとイヤな汗が浮かんでくるような、そんな不快感を覚えた。
明子のそんな逡巡など気付くことなく、沼田の言葉を続く。
「だから、ちょっと疑っちゃったんです。もしかしたら、大塚主任がなにか企んで、小杉さんを出してきたのかなあって」
「木村くんみたいに、大塚さんの策にハマって、いいように利用されたんじゃないかと」
そもそも、こんなドロドロというかグチョグチョというか、いい加減にしやがれ、バカやろうどもメと怒鳴りつけたくなるように話が始まった理由にたどり着き、明子は肩を竦めて笑った。
(利用、されたのかな、上の連中に)
そんなことを思うと、目の奥がズキズキしてきた。
牧野に掴まれた腕も、ジリジリと、熱い。
(もし、そんなんだったら……)
(ホントにぶん殴ってやるっ)
昨日見た、牧野のきれいな横顔が、一瞬、明子の脳裏に浮かんで、消えた。