リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「大塚主任も初めて聞く話だから、あれこれと探ったらしいんですけど。そんな話、知らないって言う人のほうが多いから、聞き回ったところでなにも判らないじゃないですか。仮に事情を知っている人は見つけたとしても、なにも言わないでしょうし。でも、それが裏目に出たみたいで、なんかあるって確信しちゃったみたいで。牧野さんの弱みを握った気になっちゃったようで。それで、その」
「この事態になったわけね。うん。よく判ったわ」

すいません、止められなくてと頭を下げる沼田に、沼田くんに責任あることじゃないから、気にしなくていいと言う一方、木村のことを考えると頭が痛くなってきた。


(木村くん)
(やっぱり一度、きっちりと、締めるべき?)
(もう、余計なことをペラペラ喋るなって、何度も言っているのに!)


明子が、そんな怒りのマグマを爆発させていたころ。
その木村が調子よく放った何気ない一言が火種になって、後に明子を唖然とさせるとんでもない噂が生まれることになることを知っていれば。
やっぱりなどという悠長なことは言わず、問答無用とばかりに、速攻で明子は最大級の雷の落としたのだが。
遠く離れた客先では、そんなことは判りようもなかった。
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