リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「だって。お前。もう吸い上げできてます、分析もできています、来週、君島課長が出てくるまでの顔繋ぎですなんて言ったら、そんな打ち合わせ、延期でいいでしょうとゴネただろう」
「そう言われたら、ゴネますね」
「部長命令だ、行ってこいなんて頭ごなしに言ったら、はいはいって言いながら、てきとーに流してきたろ」
「楽しい漫談見て、笑ってましたね」
「俺の変わりに大塚と喧嘩しろなんて言ったら、俺に噛み付くだろ」
「当たり前ですっ というか、なんで、そう、捻くれた伝え方ばかりしようとするんですかっ 素直に全部話してくれればよかったでしょっ」
「そしたら、お前、話を聞いたその足で、大塚に鉄拳制裁加えてきたろ。俺としては、暴力事件を未然に食い止めてやろうとだな」
明子の手が、牧野の頬を抓りあげた。
(言わせておけば!)
(この男メっ)
(図星なだけに、腹が立つっ)
大塚がなにもできずオロオロとしている結果、君島が困っていると思ったからこそ、よっしゃと気合を入れて乗り込んできたのだ。
沼田の口から語られ聞かされた話だから、一緒に君島に代わって、あの男に一泡吹かせてやろうと決めることができたのだ。
とはいえ、じわじわとこみ上げてきた不愉快極まりない『誰かの手のひらで転がされた』感に、これくらいの報復をしなければ、明子の悔しさが紛れない。
今回は殴らせてやるって言ったからなと、牧野は仕方なさそうに、明子に抓られた頬を撫で摩った。
「そう言われたら、ゴネますね」
「部長命令だ、行ってこいなんて頭ごなしに言ったら、はいはいって言いながら、てきとーに流してきたろ」
「楽しい漫談見て、笑ってましたね」
「俺の変わりに大塚と喧嘩しろなんて言ったら、俺に噛み付くだろ」
「当たり前ですっ というか、なんで、そう、捻くれた伝え方ばかりしようとするんですかっ 素直に全部話してくれればよかったでしょっ」
「そしたら、お前、話を聞いたその足で、大塚に鉄拳制裁加えてきたろ。俺としては、暴力事件を未然に食い止めてやろうとだな」
明子の手が、牧野の頬を抓りあげた。
(言わせておけば!)
(この男メっ)
(図星なだけに、腹が立つっ)
大塚がなにもできずオロオロとしている結果、君島が困っていると思ったからこそ、よっしゃと気合を入れて乗り込んできたのだ。
沼田の口から語られ聞かされた話だから、一緒に君島に代わって、あの男に一泡吹かせてやろうと決めることができたのだ。
とはいえ、じわじわとこみ上げてきた不愉快極まりない『誰かの手のひらで転がされた』感に、これくらいの報復をしなければ、明子の悔しさが紛れない。
今回は殴らせてやるって言ったからなと、牧野は仕方なさそうに、明子に抓られた頬を撫で摩った。