リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
浴室いっぱいに、明子のため息が溢れた。
耳に触れる。
牧野の指が触れたところに、そっと、自分の指を重ねた。
明子にも、牧野に憧れた時期があった。
会社に入って間もないころ。
大卒で、身長もあり、見た目も整っている。
性格も明るく、話題も豊富で、人当たりもいい。
そんな牧野に、他の女性社員たちと同じように、憧れの目を向けていたときがあった。
新人研修後、二人揃って同じ部署に配属になったことが妙に嬉しくて、胸が弾む思いをしたことを今でも覚えている。
そんな気持ちを封印したきっかけは、牧野に言われた一言だった。
些細なミスを先輩に咎められ、つい涙を浮かべてしまったことがあった。
ミスに対する反省の気持ちもあったが、そんなこと、他の人だってしてるのに、どうして自分だけという、そんな思いもあった。
それが、涙になってこみ上げてきた。
まあ、新人の女の子にそんな厳しいことを言わなくてもと、様子を見ていた上司が間に入って取り成してその場は収まったが、席に戻った明子に牧野は言い放った。
-女みたいに、泣くな
隣に座る牧野のその言葉に、明子は唇を噛み締め俯くしかなかった。
耳に触れる。
牧野の指が触れたところに、そっと、自分の指を重ねた。
明子にも、牧野に憧れた時期があった。
会社に入って間もないころ。
大卒で、身長もあり、見た目も整っている。
性格も明るく、話題も豊富で、人当たりもいい。
そんな牧野に、他の女性社員たちと同じように、憧れの目を向けていたときがあった。
新人研修後、二人揃って同じ部署に配属になったことが妙に嬉しくて、胸が弾む思いをしたことを今でも覚えている。
そんな気持ちを封印したきっかけは、牧野に言われた一言だった。
些細なミスを先輩に咎められ、つい涙を浮かべてしまったことがあった。
ミスに対する反省の気持ちもあったが、そんなこと、他の人だってしてるのに、どうして自分だけという、そんな思いもあった。
それが、涙になってこみ上げてきた。
まあ、新人の女の子にそんな厳しいことを言わなくてもと、様子を見ていた上司が間に入って取り成してその場は収まったが、席に戻った明子に牧野は言い放った。
-女みたいに、泣くな
隣に座る牧野のその言葉に、明子は唇を噛み締め俯くしかなかった。