リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「小杉さん。それも、卯の花?」
明子の弁当箱の中身を興味深げに眺めていた松山が、そう尋ねてきた。
「そうです。今日はちょっとアレンジして、そぼろ風にしてみたんですよ」
しいたけ、まいたけ、にんじん、ごぼう。それから油揚げ。
それらの物とおからで作った卯の花は、今週のお弁当の中心的おかずだった。
そのままでお弁当箱に詰めることもあれば、卵を混ぜてハンバーグ風にしてみたり、茹でて潰したジャガイモと片栗粉を加えて焼いてみたりと、あれこれアレンジもした。
木曜日の今日は、炒り卵と合わせてそぼろ風にして、ご飯にのせてきた。
いつもより、気持ちご飯が多めのお弁当だったが、今週は夕飯がスープかサラダばかりだったので、今日のお昼ご飯は白米をきっちり茶碗一膳分食べることした。
「僕も、卯の花、作ってもらったんだよ。昨日、小杉さんの見て、おいしそうだなあって思って。恭子ちゃんに言ってみたら、おからがあるからって作ってくれてね。なるほど、そういうふうにして食べてもいいのか」
「いやいや。恭子さんのほうが間違いなく、お料理上級者ですから、いろんなアレンジしてくれますよ」
「恭子ちゃんがね、今度、遊びに来てくださいって言ってたよ。最近、お昼一緒にお弁当を食べているんだよって言ったら、懐かしがってたよ」
「そうなんですか? じゃあ、お子さんが生まれたら、お顔を見に、総務の子たちを誘って行こうかなあ」
すっかりお馴染みとなりつつある松山とのまったりトークに、顔をだらしないほど綻ばせながら、明子はご飯をゆっくりと噛み締めた。
(あー、和むー)
(この時間が、なによりのいい息抜きだわ。うん)
こうやって松山と話しをしていると、心の凝りが解れていくようだった。
「総務まで、階段使って行けるようなったか?」
今週は、午前中から客先に出ていることが多かった牧野が、久しぶりに会議室で昼食を取っていた。
そんな牧野の余計に一言など、明子は全く聞こえていないふりをして流そうとしたが、木村がそれに食いついてしまった。
「最近、朝もエレベーター乗らないで階段ですよね。総務なんて、もう、スタスタ行ってきちゃうし」
すげーよなあと、妙なところに感心している木村を、沼田がすげえよなじゃないだろと嗜める。
「お前な。友達じゃないんだから」
「はい。気をつけます」
沼田の注意に敬礼するようなポーズをとって答える木村を、会議室にいたほぼ全員が、本当にお前は判っているのかというような顔をして眺めた。
明子の弁当箱の中身を興味深げに眺めていた松山が、そう尋ねてきた。
「そうです。今日はちょっとアレンジして、そぼろ風にしてみたんですよ」
しいたけ、まいたけ、にんじん、ごぼう。それから油揚げ。
それらの物とおからで作った卯の花は、今週のお弁当の中心的おかずだった。
そのままでお弁当箱に詰めることもあれば、卵を混ぜてハンバーグ風にしてみたり、茹でて潰したジャガイモと片栗粉を加えて焼いてみたりと、あれこれアレンジもした。
木曜日の今日は、炒り卵と合わせてそぼろ風にして、ご飯にのせてきた。
いつもより、気持ちご飯が多めのお弁当だったが、今週は夕飯がスープかサラダばかりだったので、今日のお昼ご飯は白米をきっちり茶碗一膳分食べることした。
「僕も、卯の花、作ってもらったんだよ。昨日、小杉さんの見て、おいしそうだなあって思って。恭子ちゃんに言ってみたら、おからがあるからって作ってくれてね。なるほど、そういうふうにして食べてもいいのか」
「いやいや。恭子さんのほうが間違いなく、お料理上級者ですから、いろんなアレンジしてくれますよ」
「恭子ちゃんがね、今度、遊びに来てくださいって言ってたよ。最近、お昼一緒にお弁当を食べているんだよって言ったら、懐かしがってたよ」
「そうなんですか? じゃあ、お子さんが生まれたら、お顔を見に、総務の子たちを誘って行こうかなあ」
すっかりお馴染みとなりつつある松山とのまったりトークに、顔をだらしないほど綻ばせながら、明子はご飯をゆっくりと噛み締めた。
(あー、和むー)
(この時間が、なによりのいい息抜きだわ。うん)
こうやって松山と話しをしていると、心の凝りが解れていくようだった。
「総務まで、階段使って行けるようなったか?」
今週は、午前中から客先に出ていることが多かった牧野が、久しぶりに会議室で昼食を取っていた。
そんな牧野の余計に一言など、明子は全く聞こえていないふりをして流そうとしたが、木村がそれに食いついてしまった。
「最近、朝もエレベーター乗らないで階段ですよね。総務なんて、もう、スタスタ行ってきちゃうし」
すげーよなあと、妙なところに感心している木村を、沼田がすげえよなじゃないだろと嗜める。
「お前な。友達じゃないんだから」
「はい。気をつけます」
沼田の注意に敬礼するようなポーズをとって答える木村を、会議室にいたほぼ全員が、本当にお前は判っているのかというような顔をして眺めた。