リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
明子がコーヒーを淹れて席に戻ると、牧野はすでに電話を終えたらしく、今度は君島の席に腰を下ろしている笹原と、ぼそぼそと話し込んでいた。
松山の件を報告しているとしたら、まだまだ時間がかかるかもなどど考えつつ、コーヒーを飲みながら今日の作業報告書を明子は作り始めた。
けれど、パソコンに向かい始めるとすぐに牧野の声で名を呼ばれ、振り返ると、明子に目を向けている牧野がこっちに来いというように手招きしていた。
(あー、今日の報告か)
(ふふんだ、ふんぞり返って報告してやる)
(これでもかと自慢してやる)
勝どきの声の挙げる代わりに自信満々の勇ましい足取りで、ずんずんと、明子は牧野と笹原の元に歩み寄った。
だが、その明子が口を開くより先に、そんな明子の様子に肩を震わせて笑っている牧野が口を開いた。
「なにも言わなくていい。うん。その歩き方で、勝ち負けは十分判った」
またもや挫かれた出端に、明子を頬をぷくりと膨らませた。
(なによぉー)
(しゃべらせてよぉー)
(というか、苦情の五個や六個は大人しく聞けー)
(このやろうどもめー)
牧野の言葉に開口一番の言葉を遮られ、その胸中でじたばたと暴れまくっていた明子に、笹原がご苦労だったなと声をかけてきた。
松山の件を報告しているとしたら、まだまだ時間がかかるかもなどど考えつつ、コーヒーを飲みながら今日の作業報告書を明子は作り始めた。
けれど、パソコンに向かい始めるとすぐに牧野の声で名を呼ばれ、振り返ると、明子に目を向けている牧野がこっちに来いというように手招きしていた。
(あー、今日の報告か)
(ふふんだ、ふんぞり返って報告してやる)
(これでもかと自慢してやる)
勝どきの声の挙げる代わりに自信満々の勇ましい足取りで、ずんずんと、明子は牧野と笹原の元に歩み寄った。
だが、その明子が口を開くより先に、そんな明子の様子に肩を震わせて笑っている牧野が口を開いた。
「なにも言わなくていい。うん。その歩き方で、勝ち負けは十分判った」
またもや挫かれた出端に、明子を頬をぷくりと膨らませた。
(なによぉー)
(しゃべらせてよぉー)
(というか、苦情の五個や六個は大人しく聞けー)
(このやろうどもめー)
牧野の言葉に開口一番の言葉を遮られ、その胸中でじたばたと暴れまくっていた明子に、笹原がご苦労だったなと声をかけてきた。