リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「さっきの木村の言葉な。ありゃ、ヒメへのイヤミだ。お前に、牧野課長が飲めるコーヒーが淹れられるわけないだろう、機嫌を悪くさせるのが関の山だから引っ込んでろっていうな」
「はあ」
「まあ、それがヒメに通じたかどうかは、判らないけどな」
くつくつと笑う小林に、明子はただ「そう、ですね」と頷くしなかった。
「三課はほとんど人がいないから、最初のころは、木村がいろいろと教えてやっていたんだよ、新人の仕事」
「面倒見がいいですよね、木村くんは。ちょっとお節介になっちゃうときもありますけど」
「でも、ヒメもヒメの仲間も、同じ年の木村に先輩面されるのが気に入らなかったらしくてな、なにを偉そうにって、随分な態度をとっていたらしい」
「先輩面って。会社じゃ、先輩じゃないですか」
「まあな。そうなんだけどな、ヒメたちはそれが気に入らなかったんだよ。それでもな、木村はあいつらを何とかしてやろうって、一人で頑張っていたらしい。見兼ねた渡辺が話してくれるまで、俺も全く気づかなくて。かわいそうなことしちまったよ」
詳しくは話さないが、その苦々しい小林の顔を見れば、よほどのことがあったことは、明子にも想像がついた。
(お喋りで、おっちょこちょいでも、キミは立派な先輩だよ)
(うん)
明子はちらりと木村の席を見て、心中でそう語りかけた。
「はあ」
「まあ、それがヒメに通じたかどうかは、判らないけどな」
くつくつと笑う小林に、明子はただ「そう、ですね」と頷くしなかった。
「三課はほとんど人がいないから、最初のころは、木村がいろいろと教えてやっていたんだよ、新人の仕事」
「面倒見がいいですよね、木村くんは。ちょっとお節介になっちゃうときもありますけど」
「でも、ヒメもヒメの仲間も、同じ年の木村に先輩面されるのが気に入らなかったらしくてな、なにを偉そうにって、随分な態度をとっていたらしい」
「先輩面って。会社じゃ、先輩じゃないですか」
「まあな。そうなんだけどな、ヒメたちはそれが気に入らなかったんだよ。それでもな、木村はあいつらを何とかしてやろうって、一人で頑張っていたらしい。見兼ねた渡辺が話してくれるまで、俺も全く気づかなくて。かわいそうなことしちまったよ」
詳しくは話さないが、その苦々しい小林の顔を見れば、よほどのことがあったことは、明子にも想像がついた。
(お喋りで、おっちょこちょいでも、キミは立派な先輩だよ)
(うん)
明子はちらりと木村の席を見て、心中でそう語りかけた。