リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「お休みなのに、お仕事されているとお聞きしたので、お昼のお弁当を」
牧野に喜んで貰いたい一心なのだということが、丸判りの声だった。
ある意味、自分に正直でまっすぐなんだなと、はた迷惑ではあるけれど、美咲のそんな一途さが、少しだけ、明子には羨ましくなった。
(あんなふうに、自分の気持ちに正直になれたら……)
(私も、いろんなことが楽になるかな)
そんなことを、明子はぼんやりと考えた。
「もう済ませてきましたので、結構です。そんなことのために、規則を破るのはいかがかと思いますが?」
「今夜、パパには話して」
「常務に話せばいいという話ではありません。岡本課長や笹島部長の責任問題になることなんです。弁当は結構ですから、さっさと帰ってください」
「すいません。これからは気をつけます。お弁当、召し上がってください。せっかく作って」
「あなたが作ったものじゃないでしょう」
美咲が泣き出すんじゃないかと、明子の背筋は一瞬、ひやりとなった。
容赦はなくても情けだけはある牧野が、容赦も情けも切り捨てたように美咲に告げた言葉の冷たさに、明子の気持ちまで、暗く冷たい水底に沈んでいくようだった。
「人に作らせた弁当を、どうぞと言われて出されても、食べる気にはなれませんので」
お持ち帰りくださいと、そうばっさりと切り捨てる牧野に、明子は、知らず、詰めていた息を吐き出した。
(お弁当くらい、受け取ってやればいいのに)
(お手伝いさんとか、誰かが、作ったものならのね)
(コーヒーよりは、マシだと思うけどな)
キャベツを突っつきながら、そんなことを考えていた明子は、突然、ぽんと肩を叩かれ、悲鳴を上げそうになったのを辛うじて堪えた。
いつの間にか、牧野が背後に立っていた。
牧野に喜んで貰いたい一心なのだということが、丸判りの声だった。
ある意味、自分に正直でまっすぐなんだなと、はた迷惑ではあるけれど、美咲のそんな一途さが、少しだけ、明子には羨ましくなった。
(あんなふうに、自分の気持ちに正直になれたら……)
(私も、いろんなことが楽になるかな)
そんなことを、明子はぼんやりと考えた。
「もう済ませてきましたので、結構です。そんなことのために、規則を破るのはいかがかと思いますが?」
「今夜、パパには話して」
「常務に話せばいいという話ではありません。岡本課長や笹島部長の責任問題になることなんです。弁当は結構ですから、さっさと帰ってください」
「すいません。これからは気をつけます。お弁当、召し上がってください。せっかく作って」
「あなたが作ったものじゃないでしょう」
美咲が泣き出すんじゃないかと、明子の背筋は一瞬、ひやりとなった。
容赦はなくても情けだけはある牧野が、容赦も情けも切り捨てたように美咲に告げた言葉の冷たさに、明子の気持ちまで、暗く冷たい水底に沈んでいくようだった。
「人に作らせた弁当を、どうぞと言われて出されても、食べる気にはなれませんので」
お持ち帰りくださいと、そうばっさりと切り捨てる牧野に、明子は、知らず、詰めていた息を吐き出した。
(お弁当くらい、受け取ってやればいいのに)
(お手伝いさんとか、誰かが、作ったものならのね)
(コーヒーよりは、マシだと思うけどな)
キャベツを突っつきながら、そんなことを考えていた明子は、突然、ぽんと肩を叩かれ、悲鳴を上げそうになったのを辛うじて堪えた。
いつの間にか、牧野が背後に立っていた。