リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「悪い。驚かせたか?」
明子の肩がびくんと跳ね上がったのを見て、牧野は少しばかりばつの悪そうな顔をして、明子にぼそりとそう告げた。
肩に手を置いたまま、牧野は身を屈めるようにして耳元に唇が寄せてくる気配に、明子の体は緊張に強張っていく。
胸の鼓動が聞かれはしないかと、体を固くして息を詰める。
肩から伝わる牧野の温もりが、明子の中に積もっていく。
「悪かったな。あれ。大変だったろ?」
「帰るように言っても、聞いてくれなくて」
「うん。判ってる。気にしなくていい」
吐き出す息に混ぜてのその囁きに、明子も声を潜めて答える。
美咲から明子を庇うように背後にいる牧野を通り越して、明子に突き刺さってくるきつい視線に、顔が少し強張った。
人の憎悪に晒されることに、慣れることはできない。
昨日より、きつい眼差しを向けられていることは、見なくても判るだけに、明子は少しだけ怖くなった。
(いやだなあ。気にするなって簡単に言うけど)
(牧野さんがこういうことすると、けっきょく、睨まれて絡まれるのは、こっちなのに)
また、気が重くなっていった。
明子の肩がびくんと跳ね上がったのを見て、牧野は少しばかりばつの悪そうな顔をして、明子にぼそりとそう告げた。
肩に手を置いたまま、牧野は身を屈めるようにして耳元に唇が寄せてくる気配に、明子の体は緊張に強張っていく。
胸の鼓動が聞かれはしないかと、体を固くして息を詰める。
肩から伝わる牧野の温もりが、明子の中に積もっていく。
「悪かったな。あれ。大変だったろ?」
「帰るように言っても、聞いてくれなくて」
「うん。判ってる。気にしなくていい」
吐き出す息に混ぜてのその囁きに、明子も声を潜めて答える。
美咲から明子を庇うように背後にいる牧野を通り越して、明子に突き刺さってくるきつい視線に、顔が少し強張った。
人の憎悪に晒されることに、慣れることはできない。
昨日より、きつい眼差しを向けられていることは、見なくても判るだけに、明子は少しだけ怖くなった。
(いやだなあ。気にするなって簡単に言うけど)
(牧野さんがこういうことすると、けっきょく、睨まれて絡まれるのは、こっちなのに)
また、気が重くなっていった。