リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「優秀なのが判っているだけに、あのスピーチ恐怖症が、君島さんも俺も、笹原部長も、惜しくてなあ。なんとかしてやろうって、ああしろこうしろ頑張れ頑張れって、とにかく上手く喋らせることばっかり考えててな。仕事を、誉めてやったことなんか、一度もなかった。いつも、惜しい惜しい、もうちょいなのに、惜しいってな」
「今回は、あのお客様でしたから。もしも、新規のお客様だったら、部長にやれって言われたって、プレゼンなんか見合わせましたよ」
「まあな。でも、沼田には、一番必要な言葉だったんだよな、あれ。部長がな、あの後、こっそり言ってたんだ。沼田はこれで一気に化けるぞってな。営業でも、支援でも、若手を育てるのが上手いって評判だったけど、なるほどなって感心してたぞ」
そのまま寝息をたててしまうのではないかと思うくらい、ゆったりとした声で、牧野は静かに言葉を続け、締めくくった。
「だから、自信持てよ。な?」
顔を上げ明子を見上げる牧野の、思いがけず優しい眼差しに、明子は一瞬息を飲む。
牧野を見つめる瞳が、揺らいでいた。
「今回は、あのお客様でしたから。もしも、新規のお客様だったら、部長にやれって言われたって、プレゼンなんか見合わせましたよ」
「まあな。でも、沼田には、一番必要な言葉だったんだよな、あれ。部長がな、あの後、こっそり言ってたんだ。沼田はこれで一気に化けるぞってな。営業でも、支援でも、若手を育てるのが上手いって評判だったけど、なるほどなって感心してたぞ」
そのまま寝息をたててしまうのではないかと思うくらい、ゆったりとした声で、牧野は静かに言葉を続け、締めくくった。
「だから、自信持てよ。な?」
顔を上げ明子を見上げる牧野の、思いがけず優しい眼差しに、明子は一瞬息を飲む。
牧野を見つめる瞳が、揺らいでいた。