リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「どうした? 大丈夫か? 顔、赤いぞ?」
ひんやりと冷たい、牧野の指先が火照る頬に心地よかった。
けれど、鼓動はどんどん高まっていく。
‐風邪か?
心配げに明子を見ながら、牧野は頬に触れていた手を明子の額に当てる。
あまりにも的外れな牧野の心配に、明子は泣きたいような切なさで、胸がいっぱいになる。
この恋心は、届かない。
なのに、捨てられない恋が苦しい。
明子は、小さく息を吐き出して、いつもの自分を作っていく。
「牧野さんの肩揉みなんてしたからですよ。大変なんですよ、この鉄筋製の肩は」
泣き笑いのような顔になっていませんようにと祈りながら、明子は精一杯の『いつもの顔』を作る。
「こんなに顔が赤くなるまでしなくていいって。バカだな」
「バカってなんですか、バカって」
牧野の手を軽く払うようにして、明子は頬を膨らませ抗議した。
(ごまかせたかな?)
(気付かれなかったかな?)
そんなことばかりを心配しながら、明子はいつもの軽口で叩く。
「夕飯。なに食いたい?」
さらりと尋ねる牧野に、明子は行きませんよと答える。
「牧野さんは、これ片付けないとダメじゃないですか? これ」
とんとんと、重箱を叩く明子に、牧野は勘弁しろよとふてくされたように剥れた。
ひんやりと冷たい、牧野の指先が火照る頬に心地よかった。
けれど、鼓動はどんどん高まっていく。
‐風邪か?
心配げに明子を見ながら、牧野は頬に触れていた手を明子の額に当てる。
あまりにも的外れな牧野の心配に、明子は泣きたいような切なさで、胸がいっぱいになる。
この恋心は、届かない。
なのに、捨てられない恋が苦しい。
明子は、小さく息を吐き出して、いつもの自分を作っていく。
「牧野さんの肩揉みなんてしたからですよ。大変なんですよ、この鉄筋製の肩は」
泣き笑いのような顔になっていませんようにと祈りながら、明子は精一杯の『いつもの顔』を作る。
「こんなに顔が赤くなるまでしなくていいって。バカだな」
「バカってなんですか、バカって」
牧野の手を軽く払うようにして、明子は頬を膨らませ抗議した。
(ごまかせたかな?)
(気付かれなかったかな?)
そんなことばかりを心配しながら、明子はいつもの軽口で叩く。
「夕飯。なに食いたい?」
さらりと尋ねる牧野に、明子は行きませんよと答える。
「牧野さんは、これ片付けないとダメじゃないですか? これ」
とんとんと、重箱を叩く明子に、牧野は勘弁しろよとふてくされたように剥れた。