リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
一通り、予定していた作業を終えたのは、十九時を少し過ぎたくらいだった。
途中。
明子たちと同じように休日出勤していた、第一システム部の高橋健(たかはし たかし)という社員がひょこりと顔を覗かせ、薄皮饅頭を置いていった。
(確か、三課の主任くんだったっけ)
(川田くんと、同期くらいだったかな)
お疲れ様ですと言いながら入ってきた顔を見て、ぼんやりとそんなことを考えていた明子に、おやつにどうぞと、饅頭が詰まった箱を差しだしてきた。
なんでも、木曜日に福島に出張していた社員の土産なのだが、残っている饅頭が結構あり、日付的に月曜までは持たなさそうなので食べてしまえということになったが、今日に限って第一システム部は出勤している社員が、数人しかいないらしい。
「ウチも、何人か客先にいますけど、会社に出てきてるのは、課長と私だけなんですよ」
「なんだか、この時期に休出する社員が少ないっていうのも、不安ですよねえ。やっぱ、不景気なんだなーって」
「確かになあ。売り上げ、去年より落ち込んでるし。月末の会議が恐ろしいよ」
「ははは。牧野課長のところは心配ないでしょう。川田が、今年の牧野課長はさらにパワーアッブで絶好調って、飲み会で言ってましたよ」
「あのやろ。まだそんな軽口を叩ける余裕があるんだな。来月は、もっとキリキリ働かせてやる」
そんな世間話ていどの話をして高橋が出て行くと、明子はなにも言わずに席を立ち、給湯室で二人分のお茶を淹れ、一つを自分の机に、一つを牧野の机に置いた。
「サンキュ」
短く、一言、そう告げる声に、明子の頬に笑みが浮かんだ。
そうして、また、キーボードがバチバチと叩かれる音だけが溢れる、静かに部屋になった。
途中。
明子たちと同じように休日出勤していた、第一システム部の高橋健(たかはし たかし)という社員がひょこりと顔を覗かせ、薄皮饅頭を置いていった。
(確か、三課の主任くんだったっけ)
(川田くんと、同期くらいだったかな)
お疲れ様ですと言いながら入ってきた顔を見て、ぼんやりとそんなことを考えていた明子に、おやつにどうぞと、饅頭が詰まった箱を差しだしてきた。
なんでも、木曜日に福島に出張していた社員の土産なのだが、残っている饅頭が結構あり、日付的に月曜までは持たなさそうなので食べてしまえということになったが、今日に限って第一システム部は出勤している社員が、数人しかいないらしい。
「ウチも、何人か客先にいますけど、会社に出てきてるのは、課長と私だけなんですよ」
「なんだか、この時期に休出する社員が少ないっていうのも、不安ですよねえ。やっぱ、不景気なんだなーって」
「確かになあ。売り上げ、去年より落ち込んでるし。月末の会議が恐ろしいよ」
「ははは。牧野課長のところは心配ないでしょう。川田が、今年の牧野課長はさらにパワーアッブで絶好調って、飲み会で言ってましたよ」
「あのやろ。まだそんな軽口を叩ける余裕があるんだな。来月は、もっとキリキリ働かせてやる」
そんな世間話ていどの話をして高橋が出て行くと、明子はなにも言わずに席を立ち、給湯室で二人分のお茶を淹れ、一つを自分の机に、一つを牧野の机に置いた。
「サンキュ」
短く、一言、そう告げる声に、明子の頬に笑みが浮かんだ。
そうして、また、キーボードがバチバチと叩かれる音だけが溢れる、静かに部屋になった。