リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「小林さんが変なふうにからかうんですもの。だから、下手に乗りたくなかったんですよ」
「なんだよ、下手にって。言わなきゃいいだけの話だろ」
「なんか、こう、ぺらぺらっと。小林さん相手だと牧野さんの悪口で盛り上がったついでに、余計なことまで喋っちゃうですよ」
「ばかやろ。悪口だって余計な話だ。人がいないと、なにを言っているか判ったもんじゃねえな、お前と小林さんは」

短く舌打ちしてそうぼやく牧野に、明子はイーッと舌を出した笑った。
その頬を牧野は忌々しそうに抓った。

「痛い。女の子の顔に」

頬を摩りながら、痛いと抗議する明子に、牧野はうるせ、と言い放ち笑う。

「なんかな、女子は面倒くせえんだよ。気を使うつうか、なにを話せばいいか判らねえし」
「どの口で、それを言うんだか」
「この口だよ。文句あるか。野郎なら、少しくらいの下ネタあってもOKだけど、女子はそういかねえだろう」
「下ネタって……。なに下らない話で盛りあがってんだか」

呆れたという表情で、これだから男ってと苦笑する明子に、牧野はまたにたりと笑った。

「小杉は、あれで、けっこう胸あるよな、とかな」

一瞬、目をぱちくりとさせ固まった明子は、体中が火照るような感覚を覚え、思わず拳を握った腕を振りあげた。


(なんて話してんのよっ)
(バカっ)


あまりの恥ずかしさに、目頭がジンジン痛んだ。
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