リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「運転中だって。よせって」
殴りかかってきそうな明子の様子に、牧野は左手をあげ、明子を制する。
「やめろって。マジで危ないって言うの」
危ないと言われ、拳を振り落とせなくなった明子は、そのままそっぽを向くように窓の外に顔を向けた。
肩に掛けていたストールを、知らず、きつく巻き付け直していた。
(そんな話。たとえしていたにしたって、聞かせることないじゃない)
(バカバカバカバカ)
牧野のそういう意地の悪いところは、昔も今も変わらない。
判っていたけれど、それでもそんな話をしていると楽しそうに告げる牧野に、悲しくなった。
ややあって、するりと伸ばされてきた手が、明子の髪を撫でた。
その感触に、明子は体を竦ませた。
「悪い。冗談だよ。そんな話、してないから」
ごめんを繰り返す牧野に、それでも明子は、窓の外に向けた顔を、元に戻すことはできなかった。
髪を撫でていた手が、またするりと離れ、明子のきつく握られた右手に、そっと重ね置かれた。
思わず、逃げようとしたその手を、牧野の左手は大きく包み込み、それを許してくれなかった。
「マジで。俺の前でそんな話してるヤツいたら、ぶっとばすって。ごめん。からかいすぎた」
頼むから、機嫌直してくれという牧野に、明子はようやく肩の力を抜いた。
(バカ)
心の中で、もう一度そう呟いた。
殴りかかってきそうな明子の様子に、牧野は左手をあげ、明子を制する。
「やめろって。マジで危ないって言うの」
危ないと言われ、拳を振り落とせなくなった明子は、そのままそっぽを向くように窓の外に顔を向けた。
肩に掛けていたストールを、知らず、きつく巻き付け直していた。
(そんな話。たとえしていたにしたって、聞かせることないじゃない)
(バカバカバカバカ)
牧野のそういう意地の悪いところは、昔も今も変わらない。
判っていたけれど、それでもそんな話をしていると楽しそうに告げる牧野に、悲しくなった。
ややあって、するりと伸ばされてきた手が、明子の髪を撫でた。
その感触に、明子は体を竦ませた。
「悪い。冗談だよ。そんな話、してないから」
ごめんを繰り返す牧野に、それでも明子は、窓の外に向けた顔を、元に戻すことはできなかった。
髪を撫でていた手が、またするりと離れ、明子のきつく握られた右手に、そっと重ね置かれた。
思わず、逃げようとしたその手を、牧野の左手は大きく包み込み、それを許してくれなかった。
「マジで。俺の前でそんな話してるヤツいたら、ぶっとばすって。ごめん。からかいすぎた」
頼むから、機嫌直してくれという牧野に、明子はようやく肩の力を抜いた。
(バカ)
心の中で、もう一度そう呟いた。