リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「先月は、駒ケ岳に行ってきたんだ」
「福島、でしたっけ?」
「おう。会津な」
その言葉に、そう言えばとあることを思い出した。
今日、高橋からもらった饅頭を食べながら、先月も同じものを食べなかったっけと、そんなことを考えていた。
確か、誰かのお土産ですと言われて、渡辺に配られたような記憶があったのだが、なにかの電話対応に追われていたため、『誰か』の部分をちゃんと聞いていなかった。
「先月の薄皮饅頭って、牧野さんのお土産ですか?」
「あ? あー。アレか。おう。俺だ。駒ケ岳に行った帰りにな」
「先月辺りだと、ちょうど紅葉の時期ですか?」
「ああ。きれいだったぞ。高速を飛ばして、四時半すぎに登山口の駐車場に入って登るんだ。まだ薄暗くてな、登ってる途中で朝になる。あそこ、山道もけっこう整備されていて、けっこう歩きやすいんだ。夏は高山植物がきれいでな。来年は一緒に行くか?」
牧野のそんな誘いに、明子はくすりと笑う。
「今、来年の約束なんてしても、意味ないじゃないですか。年内の休みだってどうなるかって感じなのに」
「ぜったいに行くって決めてりゃ、どうにかなるもんなんだよ。七月な」
勝手に約束を押し付けていく牧野に、明子は苦笑しながら、心のどこかでそれを喜んでいた。
ずっと、側にいてもいいんだと、牧野にそう言われているようで、心が震える。
「福島、でしたっけ?」
「おう。会津な」
その言葉に、そう言えばとあることを思い出した。
今日、高橋からもらった饅頭を食べながら、先月も同じものを食べなかったっけと、そんなことを考えていた。
確か、誰かのお土産ですと言われて、渡辺に配られたような記憶があったのだが、なにかの電話対応に追われていたため、『誰か』の部分をちゃんと聞いていなかった。
「先月の薄皮饅頭って、牧野さんのお土産ですか?」
「あ? あー。アレか。おう。俺だ。駒ケ岳に行った帰りにな」
「先月辺りだと、ちょうど紅葉の時期ですか?」
「ああ。きれいだったぞ。高速を飛ばして、四時半すぎに登山口の駐車場に入って登るんだ。まだ薄暗くてな、登ってる途中で朝になる。あそこ、山道もけっこう整備されていて、けっこう歩きやすいんだ。夏は高山植物がきれいでな。来年は一緒に行くか?」
牧野のそんな誘いに、明子はくすりと笑う。
「今、来年の約束なんてしても、意味ないじゃないですか。年内の休みだってどうなるかって感じなのに」
「ぜったいに行くって決めてりゃ、どうにかなるもんなんだよ。七月な」
勝手に約束を押し付けていく牧野に、明子は苦笑しながら、心のどこかでそれを喜んでいた。
ずっと、側にいてもいいんだと、牧野にそう言われているようで、心が震える。