リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「だから、そういうこと、ホントに興味ないし、巻き込まれたくないし。本部長の推薦なんて、正直、はた迷惑な話だし。無所属で安穏としていたんです、私は」
「そういうこと言うなよ」
吉田だの大塚だのは、土下座したって欲しがってるもんだぞと言いながら笑う牧野に、明子はまた気が重いというように息を吐く。
二人の名を聞いて、林田の恐怖の一言を、思い出してしまった。
「沼田くんにも、主任の試験を受けたらどうだって。ウチの部、もしかしたら、来年は係長と主任のイスが空くかもしれないぞって」
やんわりとした口調で告げられたその言葉を、明子は牧野に伝えた。
その言葉に、牧野の眉がぴくりと反応し、浮かべていた笑みを消すと、「そうか」と獣の唸り声のような低い声で呟き、「誰にも言うなよ」と、明子に念押しした。
「そんな怖い話、言えませんよ」
「沼田も聞いたのか、それ」
「顔、引き攣ってましたよ。可哀相に。プレゼンで神経すり減らしてきたばかりなのに」
「そっか。一応、あいつにも釘を刺しておいたほうがいいな」
「大丈夫だとは、思いますけど」
「まあな。でも、プレゼンのあとで気が抜けているかもしれねえしな。必要以上に緊張しただろうし」
「ホントに、本部長が打ち合わせに参加するってこと、知らなかったんですか?」
「そこまで疑うなよ。沼田のことを知ってるんだ。聞いてりゃ、上に黙ってろって言われても、お前にだけは話したよ。そこは信じてくれって」
「なんで、ああいうことするかな。来るなら来るって言ってくれればいいのに。騙されてるみたいでイヤなんですけど」
「だから、部長から話しを聞いて、お前のお手並みをだな、拝見しに行きたくなったらしい」
「あっちこっち転々としてるお荷物のお手並みなんて、見たところでしょうがないでしょうに」
不貞腐れたような明子のその言い様に、牧野は「バカかっ、お前はっ」と、少しだけ声を荒げた。
その剣幕に、明子は体をびくりと竦ませた。
「そういうこと言うなよ」
吉田だの大塚だのは、土下座したって欲しがってるもんだぞと言いながら笑う牧野に、明子はまた気が重いというように息を吐く。
二人の名を聞いて、林田の恐怖の一言を、思い出してしまった。
「沼田くんにも、主任の試験を受けたらどうだって。ウチの部、もしかしたら、来年は係長と主任のイスが空くかもしれないぞって」
やんわりとした口調で告げられたその言葉を、明子は牧野に伝えた。
その言葉に、牧野の眉がぴくりと反応し、浮かべていた笑みを消すと、「そうか」と獣の唸り声のような低い声で呟き、「誰にも言うなよ」と、明子に念押しした。
「そんな怖い話、言えませんよ」
「沼田も聞いたのか、それ」
「顔、引き攣ってましたよ。可哀相に。プレゼンで神経すり減らしてきたばかりなのに」
「そっか。一応、あいつにも釘を刺しておいたほうがいいな」
「大丈夫だとは、思いますけど」
「まあな。でも、プレゼンのあとで気が抜けているかもしれねえしな。必要以上に緊張しただろうし」
「ホントに、本部長が打ち合わせに参加するってこと、知らなかったんですか?」
「そこまで疑うなよ。沼田のことを知ってるんだ。聞いてりゃ、上に黙ってろって言われても、お前にだけは話したよ。そこは信じてくれって」
「なんで、ああいうことするかな。来るなら来るって言ってくれればいいのに。騙されてるみたいでイヤなんですけど」
「だから、部長から話しを聞いて、お前のお手並みをだな、拝見しに行きたくなったらしい」
「あっちこっち転々としてるお荷物のお手並みなんて、見たところでしょうがないでしょうに」
不貞腐れたような明子のその言い様に、牧野は「バカかっ、お前はっ」と、少しだけ声を荒げた。
その剣幕に、明子は体をびくりと竦ませた。