リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「おはようございます」
『明子ちゃん?』
明らかに掠れている声で義兄にそう挨拶すると「風邪でも引いたのかい」と、義兄は心配そうに尋ねてきた。
姉より十才ほど年上のその人は、話し上手で気さくな人柄の優しい人だった。
姉とは人を介しての見合いで知り合い、結婚した。
とかく、家族の中で浮きがちな明子のことも、なにかと気にかけてくれる、ありがたい義兄だった。
「大丈夫です。今、起きたばかりなんで」
『そう。無理しちゃダメだよ』
「ありがとうございます。なにか?」
義兄の穏やかな声は、寝起きの耳にも優しくて、聞いていることは苦痛でもなんでもないけれど、それでも今日はいつまでも話をしていたい気分にはなれず、明子は用向きを尋ねた。
義兄は少し躊躇するように息をつめて、話を切りだした。
『見合いの話なんだけどね』
やっぱりその話かと、明子は苦笑いするしかなかった。
こんな朝から、義兄にまで迷惑をかけて、それでも、どうしても、あの人は、自分に見合いをさせたいのねと、明子はそう思った。
母のそんな身勝手さに、もう苦笑するしかなかった。
苦笑しか、こぼれてこなかった。
しかし、そんな明子に、義兄は思いがけない言葉を続けた。
『明子ちゃん?』
明らかに掠れている声で義兄にそう挨拶すると「風邪でも引いたのかい」と、義兄は心配そうに尋ねてきた。
姉より十才ほど年上のその人は、話し上手で気さくな人柄の優しい人だった。
姉とは人を介しての見合いで知り合い、結婚した。
とかく、家族の中で浮きがちな明子のことも、なにかと気にかけてくれる、ありがたい義兄だった。
「大丈夫です。今、起きたばかりなんで」
『そう。無理しちゃダメだよ』
「ありがとうございます。なにか?」
義兄の穏やかな声は、寝起きの耳にも優しくて、聞いていることは苦痛でもなんでもないけれど、それでも今日はいつまでも話をしていたい気分にはなれず、明子は用向きを尋ねた。
義兄は少し躊躇するように息をつめて、話を切りだした。
『見合いの話なんだけどね』
やっぱりその話かと、明子は苦笑いするしかなかった。
こんな朝から、義兄にまで迷惑をかけて、それでも、どうしても、あの人は、自分に見合いをさせたいのねと、明子はそう思った。
母のそんな身勝手さに、もう苦笑するしかなかった。
苦笑しか、こぼれてこなかった。
しかし、そんな明子に、義兄は思いがけない言葉を続けた。