リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
ふいに。
明子の頬に、牧野の手が触れた。
そんなにきつく噛んでたら切れちまうぞと、そう言って、牧野は明子に向けて、いつにない弱々しげな笑みを浮かべて見せた。
「聞いてくれ。頼む」
最後まで、ちゃんと聞いてくれ。もう一度。頼むから。
まるで静かな祈りを捧げるように、牧野はそう明子に小さな声で囁いた。
明子の頬に触れたその指先は、ようやく温もりを取り戻し、冷たい明子の頬を暖めた。
「あの仕事、できないならできないで、それでいいから」
するりと、その手は明子の頬を離れる。
牧野はまた、明子に背を向けた。
そうして、牧野は淡々と話し出した。
聞きたくないとそう言って、また耳を塞ごうとする明子の心を、聞いてあげようと宥める声があった。
(聞いてあげよう)
(これが、最後かもしれないから)
(二人だけで過ごせる、最後の時間に、なるかもしれないから)
(聞いて、あげよう)
顔を上げ、明子は静かにその背中を見つめ、牧野の言葉に耳を傾けた。
明子の頬に、牧野の手が触れた。
そんなにきつく噛んでたら切れちまうぞと、そう言って、牧野は明子に向けて、いつにない弱々しげな笑みを浮かべて見せた。
「聞いてくれ。頼む」
最後まで、ちゃんと聞いてくれ。もう一度。頼むから。
まるで静かな祈りを捧げるように、牧野はそう明子に小さな声で囁いた。
明子の頬に触れたその指先は、ようやく温もりを取り戻し、冷たい明子の頬を暖めた。
「あの仕事、できないならできないで、それでいいから」
するりと、その手は明子の頬を離れる。
牧野はまた、明子に背を向けた。
そうして、牧野は淡々と話し出した。
聞きたくないとそう言って、また耳を塞ごうとする明子の心を、聞いてあげようと宥める声があった。
(聞いてあげよう)
(これが、最後かもしれないから)
(二人だけで過ごせる、最後の時間に、なるかもしれないから)
(聞いて、あげよう)
顔を上げ、明子は静かにその背中を見つめ、牧野の言葉に耳を傾けた。