リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
けれど、今、ここで牧野に寝られてしまうのは困る。
明子が困る。
とんでもなく、困る。
休んでくれていいですから、せめて、リビングのソファーにしてくださいと、明子は必死に訴えた。
こんな大男に、玄関先で眠り込まれたら、ある意味、プチ軟禁状態だわと、明子は懸命に牧野を揺り起こす。
名を呼び続け、肩をゆさゆさと揺するが、その健闘虚しく、牧野の瞼は開くことはなかった。
深い、深い寝息を、牧野は立てていた。
(そういえば……)
(手がやけに、暖かかったような……)
(もうっ、どんだけ子どもですかっ)
(牧野さんっ)
こうなったら、後ろにひっくり返るのも時間の問題だと悟った明子は、慌ててリビングに戻る。
二つ、三つと、ソファーに並べ置いてあるクッションを持てるだけ持って、ブランケットも手に取って、慌てて玄関に駆け戻った。
牧野の体を倒す位置にクッションを並べ、ブランケットを敷く。
まだ、落とされることなく、その手に奇跡的に残っていた湯飲みを取り上げ、その肩に掛けていただけのジャケットは脱がし、牧野の頭を抱えるようにして、その上半身を床に横たえた。
一八〇センチを超える大男を抱えて、リビングまで運べる腕力は、さすがの明子にもない。
窮屈そうに曲がっている長い足も、できることならまっすぐ伸ばしてやりたいけれど、狭い玄関にはその足を伸ばしてやれるだけの広さがない。
まさか、玄関を開放しておくわけにもいかないしと諦めた。
(困った人)
(少しは、人の言うことを聞いてよ)
明子は肩を怒らせ、ドカドカと足を踏みならし、またリビングに戻った。
明子が困る。
とんでもなく、困る。
休んでくれていいですから、せめて、リビングのソファーにしてくださいと、明子は必死に訴えた。
こんな大男に、玄関先で眠り込まれたら、ある意味、プチ軟禁状態だわと、明子は懸命に牧野を揺り起こす。
名を呼び続け、肩をゆさゆさと揺するが、その健闘虚しく、牧野の瞼は開くことはなかった。
深い、深い寝息を、牧野は立てていた。
(そういえば……)
(手がやけに、暖かかったような……)
(もうっ、どんだけ子どもですかっ)
(牧野さんっ)
こうなったら、後ろにひっくり返るのも時間の問題だと悟った明子は、慌ててリビングに戻る。
二つ、三つと、ソファーに並べ置いてあるクッションを持てるだけ持って、ブランケットも手に取って、慌てて玄関に駆け戻った。
牧野の体を倒す位置にクッションを並べ、ブランケットを敷く。
まだ、落とされることなく、その手に奇跡的に残っていた湯飲みを取り上げ、その肩に掛けていただけのジャケットは脱がし、牧野の頭を抱えるようにして、その上半身を床に横たえた。
一八〇センチを超える大男を抱えて、リビングまで運べる腕力は、さすがの明子にもない。
窮屈そうに曲がっている長い足も、できることならまっすぐ伸ばしてやりたいけれど、狭い玄関にはその足を伸ばしてやれるだけの広さがない。
まさか、玄関を開放しておくわけにもいかないしと諦めた。
(困った人)
(少しは、人の言うことを聞いてよ)
明子は肩を怒らせ、ドカドカと足を踏みならし、またリビングに戻った。