リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
全く、目覚める様子のない牧野に、明子はタオルケットを持ってきた。
広げて、ふわりと牧野に掛けると、静かにその傍らに座る。
眠る男のその鼻を、明子はバカと小声で言いながら、ぎゅっと抓んだ。
ポタリ。
涙が、落ちた。
ポタポタポタポタ。
最初の一粒を追いかけるように。
後から後から、涙が落ちた。
目の下に、深い隈ができていた。
顔色も、血の気がなくて、青白い。
脱がせたジャケットからは、雨の匂いがした。
一晩中。
あの雨の中を。
真っ暗の夜の中を。
走って走って。
走り回って。
飛び出した自分のことを、牧野は探してくれていた。
牧野は、探し続けてくれた。
家にいた明子を見て、牧野は安心したように笑った。
よかったと、そう言って。
心配させてしまった明子を、責める言葉など一言もなく。
ただ、よかったとそう言って、牧野は笑った。
涙が止まらない。
溢れて。
溢れて。
溢れて。
溢れて。
涙が、
止められない。
声もなく。
ただ泣く子どものように、明子は大粒の涙を流し続けた。
広げて、ふわりと牧野に掛けると、静かにその傍らに座る。
眠る男のその鼻を、明子はバカと小声で言いながら、ぎゅっと抓んだ。
ポタリ。
涙が、落ちた。
ポタポタポタポタ。
最初の一粒を追いかけるように。
後から後から、涙が落ちた。
目の下に、深い隈ができていた。
顔色も、血の気がなくて、青白い。
脱がせたジャケットからは、雨の匂いがした。
一晩中。
あの雨の中を。
真っ暗の夜の中を。
走って走って。
走り回って。
飛び出した自分のことを、牧野は探してくれていた。
牧野は、探し続けてくれた。
家にいた明子を見て、牧野は安心したように笑った。
よかったと、そう言って。
心配させてしまった明子を、責める言葉など一言もなく。
ただ、よかったとそう言って、牧野は笑った。
涙が止まらない。
溢れて。
溢れて。
溢れて。
溢れて。
涙が、
止められない。
声もなく。
ただ泣く子どものように、明子は大粒の涙を流し続けた。