リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
いや、えーと、その、どうしようと、内心ではハデに1人でオロオロしたけれど、男はそんな明子の狼狽など気付くことなく「まいどありっ」と、威勢のいい声で明子に言った。
(まあ、違いますよなんて、わざわざ否定しなくてもね)
そう自分に言い聞かせ、内心の焦りを落ち着かせながら、三枚に下ろして四つにしてもらった鯖を受け取り、それから売場の男がお勧めと言っていた生鮭も、半身になってる一切れを選んで買い物カゴに放り込んだ。
ほかにも、鮪の柵を一本と、今日のお買い得の品になっていた刺身用のホタテも、カゴに入れた。
(今夜は、マグロの漬けとホタテの海鮮丼)
(豪華だわー)
(贅沢だわー)
(これで、おいしいお酒でも……)
(いやいや。今日は禁酒日だからね、それはダメダメ)
(あー。マグロは残るだろうから、明日はすり下ろした山芋と併せて、納豆も乗っけて、マグロのネバネバ丼にしよう)
(少しだけ竜田揚げにして、明日のお弁当のおかずにしてもいいかな)
(あ。牧野さん)
(夕飯、どうするんだろ?)
自分のための買い出しのはずなのに、なぜか、牧野の夕飯のことまで考え出している自分に気づき、明子はくすりと自分を笑う。
(まあ、違いますよなんて、わざわざ否定しなくてもね)
そう自分に言い聞かせ、内心の焦りを落ち着かせながら、三枚に下ろして四つにしてもらった鯖を受け取り、それから売場の男がお勧めと言っていた生鮭も、半身になってる一切れを選んで買い物カゴに放り込んだ。
ほかにも、鮪の柵を一本と、今日のお買い得の品になっていた刺身用のホタテも、カゴに入れた。
(今夜は、マグロの漬けとホタテの海鮮丼)
(豪華だわー)
(贅沢だわー)
(これで、おいしいお酒でも……)
(いやいや。今日は禁酒日だからね、それはダメダメ)
(あー。マグロは残るだろうから、明日はすり下ろした山芋と併せて、納豆も乗っけて、マグロのネバネバ丼にしよう)
(少しだけ竜田揚げにして、明日のお弁当のおかずにしてもいいかな)
(あ。牧野さん)
(夕飯、どうするんだろ?)
自分のための買い出しのはずなのに、なぜか、牧野の夕飯のことまで考え出している自分に気づき、明子はくすりと自分を笑う。