リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
肉や野菜や果物や、調味料やらも、たっぷりと買い込み、いつもよりかなり重たい買い物になってしまったけれど、今日は車だった。
ハンガーに掛けた牧野のジャケットの内ポケットに、車のキーが入っていたので、家を出るとそのまま駅前に回って、明子は牧野の車をコインパーキングから出してきた。
駐車場なら一台分、マンションの専用駐車場に確保してある。
ときどき、思い出したようにやってくる、家族や友人のための駐車場だ。
それも、ここ一年はほとんど使われていなかったけれど。
牧野の車を、そこに移しておこうと思った。
(奥さん、、か)
荷物を詰め込みながら、魚屋の言葉を思い出した。
つい、顔が赤らんでくる。
今までだったらそれは嫌味かと、ひそかに腹を立てていた言葉なのに、頬が染まる思いで、胸がドギマギしたことを思い出した。
(なにを浮かれてんのよ)
(バカね)
(浮かれちゃダメ)
(もう、勝手に浮かれないの)
(そんなんじゃ、ないんだから)
一晩中、自分を探してくれていた。
そんな牧野のことを思うと、また涙が眦に浮かんでくる。
けれど……。
牧野が自分に向けてくれている思いが、愛情なのか友情なのか、明子にはまだ判らなかった。
だから……。
(もう、必要以上の期待はしない)
(あの人が、望む形で、私はあの人の隣にいる)
苦しくても、悲しくても、隣にいると、明子はそう自分に言い聞かせ、また懲りもせず浮かれそうになっている自分を窘めた。
ハンガーに掛けた牧野のジャケットの内ポケットに、車のキーが入っていたので、家を出るとそのまま駅前に回って、明子は牧野の車をコインパーキングから出してきた。
駐車場なら一台分、マンションの専用駐車場に確保してある。
ときどき、思い出したようにやってくる、家族や友人のための駐車場だ。
それも、ここ一年はほとんど使われていなかったけれど。
牧野の車を、そこに移しておこうと思った。
(奥さん、、か)
荷物を詰め込みながら、魚屋の言葉を思い出した。
つい、顔が赤らんでくる。
今までだったらそれは嫌味かと、ひそかに腹を立てていた言葉なのに、頬が染まる思いで、胸がドギマギしたことを思い出した。
(なにを浮かれてんのよ)
(バカね)
(浮かれちゃダメ)
(もう、勝手に浮かれないの)
(そんなんじゃ、ないんだから)
一晩中、自分を探してくれていた。
そんな牧野のことを思うと、また涙が眦に浮かんでくる。
けれど……。
牧野が自分に向けてくれている思いが、愛情なのか友情なのか、明子にはまだ判らなかった。
だから……。
(もう、必要以上の期待はしない)
(あの人が、望む形で、私はあの人の隣にいる)
苦しくても、悲しくても、隣にいると、明子はそう自分に言い聞かせ、また懲りもせず浮かれそうになっている自分を窘めた。