リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「ダメです。許可しません。まだ漬けたばっかりです」
「いいだろ。味見」
「味がまだついてません」
「大丈夫だって」
「なにが大丈夫ですか。もう。いやですよ。誰ですか、私の大事な関ちゃんに、あんなひどい落書きしたのはっ」
「あ? あー。あれか?」

冷蔵庫を指差して、牧野は鼻先で笑った。

「誉めろよ。かわいくなったろ? あの顔に一番似合う髭を、チョイスしてやったんだぞ」

ありがたく思えよ。
けらけらと笑い、そう嘯くように言って、それからにたりと笑う牧野に、明子はギリリと歯噛みして目を吊り上げた。

確かに、牧野の言うとおりだった。
悔しいかな、髭が描かれた関ちゃんは、思いの外、かわいらしく仕上がっていた。
けれど、それとこれとは別なのだ。

明子は許せんと、拳を振り上げた。
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