リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
独身に戻って、七年以上。

その間、決して、聖人君子の如き清く正しい生活ぶりだったわけではない。
次から次へと女を変えていく、そんな遊び人だったとは言わないが、それでも、そこそこには遊んできた。
牧野が気を許している、わりと身近にいる二人の兄貴分は、良い遊びも悪い遊びも教えてくれた兄貴たちだ。
後腐れのない楽しい夜遊びも、十分に教えてもらっている。

それでも、明子を取り戻してからは、そんな遊びは一切止めた。
自分でもバカかと思うが、もしも、それを知られて呆れられてしまったらと思うと、遊ぶ気になれなくなっていた。

だからというわけではないけれど、まあ、そこそこ、健全な成人男性の雄の欲望は溜まっている。


(いっそのこと、あのまま風呂を貰って、その勢いであいつを抱いてきちまってるば、事態は一気に好転したんじゃねえのか?)
(選択、ミスったか? 俺?)


うっかりすると、そんな良からぬことまで考えてしまうくらいには、牧野の中に雄の欲は溜まっていた。
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