リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
綺麗な部屋だった。
荒れた生活ぶりなど微塵も感じさせない、きちんとした生活している人間が暮らしている、そんな部屋だった。
それが、むしろ、牧野の不安を駆り立てた。
(やっぱり、誰かいるのか?)
ここ最近の彼女の僅かなその変化が気になっていただけに、牧野は気落ちした。
傷はまだ傷のまま、彼女の中にあるけれど、
その癒えない傷を癒そうと、彼女に寄り添い支える男ができたのかもしれないと。
そんなことを想像したら、さっさとモノにしてしまえと、からかい混じりに諭していた兄貴分たちの呆れ笑いが聞こえてくるようだった。
そのとき。
なんとなく、奇妙なものが目に入った。
冷蔵庫の扉に、何かが張ってあった。
その前で腕を組み……
笑った。
(お前か?)
(もしかして、最近感じる男の気配は、お前か?)
よくよく見ると、リビングのテーブルにも、あった。
舞台のチケットらしきものまである。
その日時を脳内メモリーにインプットして、どうやって邪魔してやろうかと、牧野は企み始めた。
幽霊の正体を、見た。
まさに、そんな気分だった。
このやろうと、腹を立てつつも苦笑し、一層男前にしてやろうとリビングのペン立てからマジックを引き抜いた。
荒れた生活ぶりなど微塵も感じさせない、きちんとした生活している人間が暮らしている、そんな部屋だった。
それが、むしろ、牧野の不安を駆り立てた。
(やっぱり、誰かいるのか?)
ここ最近の彼女の僅かなその変化が気になっていただけに、牧野は気落ちした。
傷はまだ傷のまま、彼女の中にあるけれど、
その癒えない傷を癒そうと、彼女に寄り添い支える男ができたのかもしれないと。
そんなことを想像したら、さっさとモノにしてしまえと、からかい混じりに諭していた兄貴分たちの呆れ笑いが聞こえてくるようだった。
そのとき。
なんとなく、奇妙なものが目に入った。
冷蔵庫の扉に、何かが張ってあった。
その前で腕を組み……
笑った。
(お前か?)
(もしかして、最近感じる男の気配は、お前か?)
よくよく見ると、リビングのテーブルにも、あった。
舞台のチケットらしきものまである。
その日時を脳内メモリーにインプットして、どうやって邪魔してやろうかと、牧野は企み始めた。
幽霊の正体を、見た。
まさに、そんな気分だった。
このやろうと、腹を立てつつも苦笑し、一層男前にしてやろうとリビングのペン立てからマジックを引き抜いた。