リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
笹原と話をしていた君島が、自分の席に着いたのを確認して、明子は静かにその傍らに歩み寄り、お悔やみの言葉を神妙な声で伝えた。
「世話になったな。助かったよ」
明子に笑いかけながらそう告げた君島は、少しだけ痩せたようにも見えたが、思っていたよりも元気そうで明子は安心した。
「……、お前、少し雰囲気が変わったな」
少し丈の長い白のタートルネックのニットに、チェーンが長いシルバーのネックレスを掛け、丈が短めのグレーの丸襟のニットジャケットに濃紺のタックパンツという服装の明子を、君島は上から下まで一瞥して、そんな言葉を口にした。
「そう、ですか?」
「ん。なんか、変わったよ」
なんかあったか?
面白そうなものを見つけて、しげしげと観察しているような目で、君島は明子を眺めていた。
(ん?)
(少し痩せたからかなあ?)
自分ではそんなに変化を感じていないだけに、君島の言葉を聞いても、明子はなんだろうと首を傾げるしかなかった。
「あ。少しだけ、化粧が濃くなりました」
それかと言うように、拳を作った右手で左の手の平をポンと打った明子に、君島を吹き出した。
「今までと、そんな大差はないと思うぞ」
「ひどい。早起きしたのに」
無情な君島の言葉に、明子は頬を膨らませて、盛大に抗議した。
(今日は、目がキレイにできたのにぃーっ)
(買ったばかりの、新色シャドーなのにぃーっ)
(まあ、君島さんがそれに気付いたら、コワいけどね)
(そんなことあったら、明日、世界が終わるわね)
明子がそんなことを考えていると、笑っている君島の視線が、一瞬、ゆらりと明子の背後に逸れて、そうして戻ってきた目が、そういうことかと言うように、また楽しそうに笑っていた。
その変化に、明子も君島の視線が動いた先に目を向けた。
くつくつと、肩を揺らして笑っている小林を見て、むっとした顔で、なるほどねと頷いた。
(小林さん)
(なにか、君島さんにコンタクトしたわね)
(ぜったい、ロクなことじゃないわよね)
あとで、ぎゅぎゅーって絞って問い詰めてやるんだからと、揺れている肩に明子は誓った。
「世話になったな。助かったよ」
明子に笑いかけながらそう告げた君島は、少しだけ痩せたようにも見えたが、思っていたよりも元気そうで明子は安心した。
「……、お前、少し雰囲気が変わったな」
少し丈の長い白のタートルネックのニットに、チェーンが長いシルバーのネックレスを掛け、丈が短めのグレーの丸襟のニットジャケットに濃紺のタックパンツという服装の明子を、君島は上から下まで一瞥して、そんな言葉を口にした。
「そう、ですか?」
「ん。なんか、変わったよ」
なんかあったか?
面白そうなものを見つけて、しげしげと観察しているような目で、君島は明子を眺めていた。
(ん?)
(少し痩せたからかなあ?)
自分ではそんなに変化を感じていないだけに、君島の言葉を聞いても、明子はなんだろうと首を傾げるしかなかった。
「あ。少しだけ、化粧が濃くなりました」
それかと言うように、拳を作った右手で左の手の平をポンと打った明子に、君島を吹き出した。
「今までと、そんな大差はないと思うぞ」
「ひどい。早起きしたのに」
無情な君島の言葉に、明子は頬を膨らませて、盛大に抗議した。
(今日は、目がキレイにできたのにぃーっ)
(買ったばかりの、新色シャドーなのにぃーっ)
(まあ、君島さんがそれに気付いたら、コワいけどね)
(そんなことあったら、明日、世界が終わるわね)
明子がそんなことを考えていると、笑っている君島の視線が、一瞬、ゆらりと明子の背後に逸れて、そうして戻ってきた目が、そういうことかと言うように、また楽しそうに笑っていた。
その変化に、明子も君島の視線が動いた先に目を向けた。
くつくつと、肩を揺らして笑っている小林を見て、むっとした顔で、なるほどねと頷いた。
(小林さん)
(なにか、君島さんにコンタクトしたわね)
(ぜったい、ロクなことじゃないわよね)
あとで、ぎゅぎゅーって絞って問い詰めてやるんだからと、揺れている肩に明子は誓った。