リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
七階建てのビルの最上階にある大会議室で始まる会議のために、部課長たちは席を立った。
室内には、やれやれという安堵のため息とともに、いつもの喧騒が戻ってきた。
ようやく、一人、二人と姿を現し始めてきた不在者たちが、マジかよと、そうこぼす声が聞こえてきた。
明子は、松山から土曜日に手を加えた移行プログラムをサーバーに上げたと聞き、タイムスタンプで抽出した該当プログラムの仕様を書き直していた。
「小杉主任の仕様は、ホントに細かいねえ」
松山がそんな言葉を漏らす。
「細かすぎましたか?」
「そんなことないよ。これくらい書いてあると、助かるよ。判りやすいし」
牧野にも言われたことだが、改めて松山にもそう言われたことで、明子は胸を撫で下ろした。
不思議なもので、同じことを他の人にすでに褒められていたとしても、松山に誉めてもらうと、先生に大変よくできましたと、大きな花丸を付けて貰えたような気分になれた。
「土曜、出てたんだ。小杉も」
ふうんと、鼻を鳴らすように頷く小林を、明子は細めた目で探るように眺めた。
「なんだよ?」
「なんか、言いたそうだなあと思って」
「重箱弁当の配達、あったか?」
牧野のことでなにか尋ねられるかもと、そう予想していた明子は、その想定外の言葉に目をぱちくりとさせ、驚きの声を上げた。
「あれって、まさか、毎回なんですか?」
「ある時とない時があるみたいだぞ。なるほど。牧野アンテナ、危険を察知して、ちゃんとバリアを張ったか」
けたけたと笑う小林に、明子は頬を膨らませて、ひどいんですようと牧野の非道を訴えた。
室内には、やれやれという安堵のため息とともに、いつもの喧騒が戻ってきた。
ようやく、一人、二人と姿を現し始めてきた不在者たちが、マジかよと、そうこぼす声が聞こえてきた。
明子は、松山から土曜日に手を加えた移行プログラムをサーバーに上げたと聞き、タイムスタンプで抽出した該当プログラムの仕様を書き直していた。
「小杉主任の仕様は、ホントに細かいねえ」
松山がそんな言葉を漏らす。
「細かすぎましたか?」
「そんなことないよ。これくらい書いてあると、助かるよ。判りやすいし」
牧野にも言われたことだが、改めて松山にもそう言われたことで、明子は胸を撫で下ろした。
不思議なもので、同じことを他の人にすでに褒められていたとしても、松山に誉めてもらうと、先生に大変よくできましたと、大きな花丸を付けて貰えたような気分になれた。
「土曜、出てたんだ。小杉も」
ふうんと、鼻を鳴らすように頷く小林を、明子は細めた目で探るように眺めた。
「なんだよ?」
「なんか、言いたそうだなあと思って」
「重箱弁当の配達、あったか?」
牧野のことでなにか尋ねられるかもと、そう予想していた明子は、その想定外の言葉に目をぱちくりとさせ、驚きの声を上げた。
「あれって、まさか、毎回なんですか?」
「ある時とない時があるみたいだぞ。なるほど。牧野アンテナ、危険を察知して、ちゃんとバリアを張ったか」
けたけたと笑う小林に、明子は頬を膨らませて、ひどいんですようと牧野の非道を訴えた。