リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
とりあえず、明子が対戦相手になってやらないことには、吉田の怒鳴り声の声量はさらに増していきそうだった。
気が重さがたっぷりと含まれている息を一つ、盛大に吐き出して、明子は吉田を振り返って口を開きかけた。
そのタイミングで、位置的に吉田と明子に挟まれるようにして座っている島野が、疲れたように顔を顰めるのが見えた。
(久しぶりに戻ってきて、これは、ないわよねえ)
悪いことをしてしまったと、明子はすくりと席を立った。
明らかに敵陣でしかない吉田の傍らになど、わざわざ立ちたくはなかったので、今まで席に着いたまでいたが、こうなっては仕方がない。
どうせ、対決しなければならないのなら、最初からこうしておけばよかったと、そんな後悔すらしながら、吉田のほうに歩いていった。
-うるさくて、すいません。
島野の後ろを通るとき、小さな声でそう島野に詫びた。
島野は、小さく肩を竦めるだけだった。
「な、なんだ?」
「お話を伺いに来ただけですが?」
男性にしては背の低い吉田は、見下ろすようにして腕を組んで傍らに立った明子に、少しだけ顔を引き攣らせていた。
オーダーメイドのスーツが牧野の戦闘服なら、九センチヒールのややメンズ仕様のデザインになっているレースアップパンプスは、明子にとっての戦闘靴だ。
背筋を伸ばして、顔を上げ、戦うための戦闘靴だ。
「さすが、大杉さん。デカいな」
坂下が茶化すようにそんなことを言い、新藤や安藤が笑い出した。
幸恵も明子の視線を気にしつつ、くすりくすりと、その言葉に笑っていた。
気が重さがたっぷりと含まれている息を一つ、盛大に吐き出して、明子は吉田を振り返って口を開きかけた。
そのタイミングで、位置的に吉田と明子に挟まれるようにして座っている島野が、疲れたように顔を顰めるのが見えた。
(久しぶりに戻ってきて、これは、ないわよねえ)
悪いことをしてしまったと、明子はすくりと席を立った。
明らかに敵陣でしかない吉田の傍らになど、わざわざ立ちたくはなかったので、今まで席に着いたまでいたが、こうなっては仕方がない。
どうせ、対決しなければならないのなら、最初からこうしておけばよかったと、そんな後悔すらしながら、吉田のほうに歩いていった。
-うるさくて、すいません。
島野の後ろを通るとき、小さな声でそう島野に詫びた。
島野は、小さく肩を竦めるだけだった。
「な、なんだ?」
「お話を伺いに来ただけですが?」
男性にしては背の低い吉田は、見下ろすようにして腕を組んで傍らに立った明子に、少しだけ顔を引き攣らせていた。
オーダーメイドのスーツが牧野の戦闘服なら、九センチヒールのややメンズ仕様のデザインになっているレースアップパンプスは、明子にとっての戦闘靴だ。
背筋を伸ばして、顔を上げ、戦うための戦闘靴だ。
「さすが、大杉さん。デカいな」
坂下が茶化すようにそんなことを言い、新藤や安藤が笑い出した。
幸恵も明子の視線を気にしつつ、くすりくすりと、その言葉に笑っていた。